シナベニヤとラワンべニヤって何??
新築やリノベーションをするときによく使うシナベニヤ(ア)やラワンベニヤ(ア)。
(シナベニア・ラワンべニアともいいますが今回はベニヤで書きますね♪)
お客さんに、シナベニヤとラワンベニヤって何が違うんですか?
(これはラワンベニヤ)
ってよく聞かれます。
聞かれるって事は、ブログで書いとかないと(笑)
と言う事で今回はシナベニヤとラワンベニヤについて書いてみたいと思います。
目次
そもそもベニヤ(単板)って何?
シナベニヤやラワンベニヤの解説の前に、まずは「ベニヤとは何か」を知っていただきたいと思います。
「ベニヤ」とはよく聞く言葉ですが、一体何からできていてどんなものなのかなどは、よほどDIYが大好きでよく使っている方でない限りわからないですよね。
ベニヤをわかりやすく例えるとするならば、「大根のかつら剥き」。
丸い木をかつら剥きにしていった状態がベニヤです。
ん?でもちょっとまって。
ベニヤって、そこそこ厚みがありますよね?
と疑問に思われた方。
そうなんです。
かつら剥きにした木を「ベニヤ板」、そのベニヤ板を接着剤で重ね合わせたもの、それが「ベニヤ合板」なんです。
シナベニヤってなに?
シナベニヤ、正しく言うとシナベニヤ合板ですが、これはシナという木をベニヤ合板の表面に張り付けたもの。
シナには以下のような特徴があります。
・表面がなめらか
・木目が美しい
・落ち着いた色合い
・上品で高級な雰囲気
このような特徴から、家具などに使用すれば上質な家具を作ることができるため、家具職人からもとても人気のあるベニヤ合板なんですよ。
(住吉区KANA-HOUSEの収納建具はシナべニヤ)
シナベニヤのメリット
シナベニヤ合板は、もちろんその風合いや色合いも特徴ですが、その他のメリットとして、「コストが安い」というものがあります。
上品な雰囲気のあるシナベニヤですが、価格はリーズナブル。
(大阪市KANA-HOUSE シナベニヤで作った造作建具)
シナベニヤのデメリット
高級感がありながらもリーズナブルな価格で手に入れることのできるシナベニヤですが、デメリットもあります。
それは、「汚れやすいこと」。
シナベニヤは汚れの目立ちやすい性質を持ち、塗装をしていない状態で触ると汚れやすい・・・
ただ、この汚れやすいといったこともどうとらえるかですよね。
ちなみにうちの事務所の建具はシナべニヤで作って無塗装ですがまぁ・・・個人的にはそこまで気になってません(笑)
(5年経った弊社事務所のトイレシナベニヤの建具)
(シナベニヤのトイレドアの引手部分)
月一回いろんな人が来て事務所でワイワイ飲んでるのですが、それでもそんなに汚れてないんですよね~
そりゃ~、もちろん塗装をした方がいいと思いますよ♪
塗装はクリア塗装をすれば木目を活かすことができますし、色味を足すことで風合いを付けることもできます。
塗装についてのブログはこちら
↓
(シナの木目を生かしながらオスモの絹色を塗ったキッチンの前板)
どちらが良いかはお好みによりますが、シナベニヤには塗装をして保護する方がいいかな?と思います。
ラワンベニヤって何?
フタバガキ科の広葉樹を総称して「ラワン」といいます。
そしてこのラワンを張り合わせてつくったベニヤが「ラワンベニヤ」です。
ラワンベニヤの特徴としては、以下のようなものがあります。
・耐水性に優れている
・はっきりとした木目がない
・ざらざらとした手触り
ラワンは日本には自生しておらず、そのためフィリピン、インドネシアなどから輸入しています。
また、価格はシナベニヤよりもリーズナブルで、DIYで使われるのはほとんどこのラワンベニヤといっても過言ではありません。
造作家具などの背板でもよく使います。
構造用合板との違いは?
構造用合板をご存知の方は、「見た目はベニヤ合板と変わらないけど・・・」と思われると思います。
構造用合板も、実はベニヤ板を重ね合わせたベニヤ合板の一種。
しかしなぜ構造用合板と呼ばれるかというと、以下のような特徴があるからなんです。
・構造用下地として使う板である
・規格として、強度の数値が具体的に定められている
・下地用に使用するため、塗装などはされていない
・JASの基準に合格した合板には、それを示すスタンプが表面に押されている
建物の構造に関わる部分に使用するベニヤ合板だから、「構造用合板」と呼ばれ、さらに強度においても通常のベニヤ合板よりも高い物となっています。
でも。
価格は構造用合板の方が安価なんです♪
(床の下地で使ってる構造用合板)
厚みは9㎜~28㎜と幅広く、床の下地は24mmや28mm、壁の下地には9㎜や12㎜のものが使用され、屋根の下地には12㎜や24㎜の物がよく使用されます。
シナランバーコアって何?
まず「ランバーコア合板」とは、コア(芯)の両面にベニヤを張り付けた特殊合板のことをいい、コアには主にブロック状に接着したファルカタ集成材が用いられます。
シナランバーコアの特徴としては、
・腐りにくい
・反りやねじれの心配が少ない
・釘やネジなどの保持力が高い
・軽い
などがあります。
強度があるため、家具の芯材や裏板、棚板などに用いられることの多い合板です。
価格はシナベニヤ合板よりも安いという点もシナランバーコア合板のメリットでしょう。
ここの矢印の部分が、ファルカタ芯入ってます。
なのでこのまま木口を見せるような仕上げは出来ません。
なのでこんな感じで木口(こぐち)には、木口テープという突板テープを張ってます♪
|
↑
ここから購入もできますよ^^
シナ共芯合板とは何が違う?
ベニヤ合板やランバーコアと違い、芯板にもシナ材を使用して作られた積層合板、それが「シナ共芯合板」です。
木口(断面)が美しい、反りにくいなどの特徴があり、家具、本棚、下駄箱などに多く用いることができます。
造作キッチンの前板をシナ共芯合板で使った事例
(堺市北区Y様邸造作キッチンのシナ共芯合板の前板)
シナ共芯合板は通常のシナベニアとかシナランバー合板よりもかなり金額が高く・・・・
2.5~3倍ぐらいします。
なので化粧で見える部分で使う方がいいと思います♪
ラワンランバーコアって何?
前述したランバーコア合板にラワンを張り付けたものが「ラワンランバーコア」です。
ラワンランバーコアの特徴としては、
・腐りにくい
・反りやねじれの心配が少ない
・釘やネジなどの保持力が高い
・軽い
などシナランバーコアと同じような特徴があります。
こちらも強度があるため、家具の芯材や裏板、棚板などに用いられることの多い合板です。
ランバーコア全てにいえることですが、コスト面では先ほどご紹介したシナベニヤやラワンベニヤよりも安価です。
ただ、芯材が寄せ集めの木材のため、断面の綺麗さは劣ります。
(化粧では仕上げれない為この上に木口テープを張ります)
シナベニヤやラワンベニヤはどこに使うの?
別にどこに使うとか決まりはないんですけどね(笑)
堺市北区Y様邸 ラワンべニヤに着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
兵庫区O様邸 シナべニヤに着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
兵庫区O様邸 シナべニヤにチェリー色を着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
大阪市都島区A様邸 ラワンべニヤにマホガニー色を着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
シナベニヤ
先ほども少し触れましたが、シナベニヤは家具に使われることも多いですが、その落ち着いた感じから壁や天井に張ることも多いベニヤ合板です。
木目が美しいため、クリア塗装を施せば木目はそのままに、木の温かい雰囲気を消さずに使用することができます。
落ち着いた感じは出したいけど、コストはできれば抑えたい、という人にはおすすめです。
天井にシナベニヤを張った事例 設計:LEO設計室 施工:藏家
ラワンベニヤ
ラワンベニヤは、木目がはっきりとしていなく、また表面がざらざらとしているため「表舞台で活躍する」というよりは「裏方的存在」として使用されることが多いです。
具体的にいうと、家具の裏板や建材用下地として用いられます。
19HOUSE 収納内部ラワンベニヤ 無塗装仕上げ 設計:マスタープラン 施工:藏家
19HOUSE 廊下壁・収納建具はラワンベニヤ クリア塗装仕上げ 設計:マスタープラン 施工:藏家
ラワンベニヤは裏方と書きましたが、結構表に出して使うこともありますよ♪
ただし、特にラワンベニヤは色が黄色かったり白かったり赤かったり・・・
色がまちまち・・・
なのでラワンベニヤを化粧で使う場合、かなり厳選しないといけないんです‥‥汗
数年前までは赤いラワンを探すために材木屋さんに行って、赤いラワンベニヤをよってたんですけども・・・・
これをやってるとコストを下げるつもりが完全にコストアップになってしまうんです・・・・
しかも材木屋さんもかなり迷惑・・・・汗
なので今はラワンベニヤを化粧で使うことがあっても、ここまでの作業はせずになるべく色を合わせて持ってきて下さいと言うようにしてます♪
シナベニヤやラワンベニヤは規格のサイズがあるの?厚みは?
シナベニヤやラワンベニヤにも規格のサイズはもちろんあります。
サイズ
シナベニヤやラワンベニヤの規格サイズは、基本的には3尺×6尺となっています。
「尺ってなんや・・・」と思われた方に、「mm」で説明すると、これは約910mm×1820mmになります。
なんでそんなサイズなの、と思いますよね。
実はこれ、日本の建築界でずーっと昔から使用されてきたメジャーサイズなんです。
わかりやすい例でいうと、畳。
畳1枚の大きさが3尺×6尺です。
(ちなみに細かいことを言うと1820*910が畳のサイズではないのですがここではそこには触れません)
畳について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ^^
↓
これだとわかりやすいですよね。
もちろんサイズはこれだけではなく、4尺×8尺というサイズもあります。
これは約1200mm×2400mmになります。
(商品によって915mm×1825mmとか1220mm×2430mmとかあるけどそこも今回は触れません)
規格サイズはありますが、ホームセンターでは数百円の手数料を払えば好きなサイズにカットしてくれるところもあるので、DIYなどをする際はこのサービスを利用するのもいいかもしれませんね。
厚み
厚みに関しては、サイズよりも種類が豊富です。
メーカーによってさまざまな厚みのベニヤ合板が販売されているので、一概にこれとこれが規格の厚み!
とは言えませんが、主に販売されているのは、2.5㎜、4㎜、5.5㎜、9mmなどで、最大24㎜程度の厚みのものまでが市販で手に入れらるベニヤ合板の厚みです。
ラワンベニヤに塗装をしてみた
先ほどから施工事例を色々アップしてますが・・・
着色やクリア塗装をした写真事例が他にもあるので見て下さい~
月見山M様邸 ラワンべニヤにマホガニー色を着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
先ほども書きましたがラワンベニヤは、赤いものと白いもの黄色いものがあり結構難しいので、最初に材料を選ぶのが大変なんです・・・
色の違いがなるべくないように選ぶ必要があるのです。
19HOUSEキッチン背面 ラワンベニヤにクリア色を着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
また、表面がざらざらしているため、サンディングをしてから塗装、という手間もかかります。
シナベニヤに塗装をしてみた
シナベニヤの色は、物によっての大きな違いが少なく、色も合わせやすいのが特徴です。
ポートアイランド Y様邸シナべニヤにクリア色を着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
クリア塗装をすると木目がはっきりと目立ちますし、色のある塗料を塗って木目をうっすらと浮かび上がらせるのもオシャレですよね。
吹田山田 N様邸シナべニヤにクリア色を着色 設計:マスタープラン 施工:藏家
シナベニヤとラワンべニアのまとめ
ベニヤ板という言葉は、誰でも1度は口にしたことのある言葉ではないでしょうか。
しかし、そのベニヤ板にも色々種類があることをご存知の方は少ないと思います。
釘やネジにも大きさや形が色々あるように、ベニヤ合板にも種類が色々あり用途もさまざま。
それぞれのベニヤ合板の特徴を活かして、「適材適所」で使用していきます。
DIYをされる方もぜひ、それぞれの違いを知って、それぞれの特徴を活かした使い方をしてくださいね!
素材についての関連ブログ