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外壁に張る焼杉について 焼杉のメリットデメリットとは?

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大阪市住吉区で居心地の良い家を、住まい手さんと一緒に楽しく作っています。
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皆さん焼杉ってご存じですか?

こんな感じのものです。


(藏家事務所)
今まではバーナー仕上の焼杉しか外壁に張ったことがなかったのですが(弊社事務所外壁がバーナー仕上げ)
今回初めて外壁に天龍焼杉を張ってみましたので、色々な焼杉についてブログに残してみたいと思います。

施工の際、道具などが真っ黒になったりとなかなか大変な作業でした・・・(大工さんがね・・・)
外壁が真っ黒になるという、なかなかインパクトのあるお家に仕上がる焼杉。
いろいろな効果やメリットもあるんです。
ぜひ、焼杉について知ってください!

焼杉とは?


(住吉区KANA-HOUSE)
そもそも焼杉って聞いたことありますか?
読んで字のごとく、「焼いた杉板」のことですが、板の表面を焼き炭化層を作って腐敗や延焼を防ぐ、という目的があります。

実はこれ、滋賀県より西の地方にしか伝わっていない「伝統技法」みたいなんです。
きちんと理由があって焼杉という技法が用いられているので、詳しく解説していきますね!

焼杉の作り方は?

焼杉を作るのには、以下の2つの方法があります。

・三角柱にして焼く

・バーナーで焼く

三角柱にして焼く


姫路のクオホームさまHPより写真を引用(クオホームさまHPはこちらから

焼杉の伝統的な作り方が、こちらの「三角焼き」
杉板三枚を合わせて三角柱にし、濡れた縄で縛ります。
中に新聞紙やカンナを入れて着火し、火種側を下にして三角柱を垂直に立てると板全体が燃えていきます。
「でも燃えてるのは内側じゃないの?見えないからどれくらいで消火したらいいかわからないのでは?」

と思った方。
そうなんです。見えないんですよね、内側。
なので消火のタイミングを判断するには、長年の経験と勘が必要になってきます。
そういう「熟練の技」ってなんかシビレますよね~(え?僕だけ?)

十分焼けたと思ったタイミングで縄を解き、水をかけて消火冷却をします。
かなりの勢いで火がでることから、屋内や周りに建物、燃えやすい物がある場所では行えません。
(弊社みたいに大阪市内の工務店は作ることは無理でしょうね・・・・)

バーナーで焼く


姫路のクオホームさまHPより写真を引用(クオホームさまHPはこちらから

工場で生産でき、三角焼きと比べて量産できるのがこの「バーナー焼き」。
伝統的な三角焼きよりは新しい手法です。
工場内で生産できるので、屋外の広い場所を必要としないことがこのバーナー焼きのメリットですが、バーナーの火の勢いと三角焼きの「自ら燃える」熱量とでは差があるため、炭化層の厚みにも違いが出てきます。

バーナー焼きで作った焼杉はどうしても炭化層が薄くなるため、数年たつと素地が見えてきてしまうこともあるようです。


(5年経った藏家のバーナー仕上の焼杉外壁)

施工時と比べると全然雰囲気も違いますよね!



ちなみに、5年経ったバーナー仕上の焼杉を触ってみました。

 


手は黒くなりません♪

ちなみに三角焼きの焼杉も試してみましたw

手がちっさいとかいいっこなしですよ(笑)


軽くこすっただけでこんなに黒くなります・・・💦

焼杉の厚みはどれぐらいあるの?

一般的な焼杉に使われる杉板は10mm 程度であることが多いのですが、今回僕が使わせていただいた天龍焼杉は18mmでした。

18mmあると、10mm程度の杉板と比べ反りや割れが起こりにくく炭化層を厚くすることができ、外観も特徴あるものとなります。


藏家事務所で使った10mmぐらいの焼杉はこんな感じで反って曲がってます・・・
事務所で張った焼杉は、実験で横張りにしてみました。。。。
実は大失敗。。。


この失敗を生かし八尾の終の棲家(T様邸)では、縦貼りで施工♪

焼杉を外壁に使う利点(メリット)はあるの?

焼杉を外壁材として使用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
いくつかあるので詳しくご紹介していきます。

耐久性がいい


表面を炭化しているため耐久性に優れている、というのが第一のメリット。
炭が腐るなんてことがないように、この焼杉も表面が炭となっているため腐りません。
しかし通常の杉板を外壁に使うと、雨風にさらされて杉板そのものが腐ってしまう可能性もあります。

個性的な外観



天龍焼杉HPより引用

焼杉を外壁に使うとそれはそれはインパクトの強い家になります。
写真をみてもわかる通り、焼杉と通常の木目を活かした木材とのコントラストで、かなり目立つ家になります。

個性的なデザインがお好きな方にはピッタリかなと思います♪

コストも意外とかからない!?

「わざわざ焼いたりしないといけないから、コストもそれなりにかかるんじゃ・・・」って思いますよね?
実は、意外とそうでもないんです!
もちろん手間がかかる分、一般的なサイディング(外壁に使用される外壁材の一種)に比べるとどうしても高くはなります。
しかし、他の「手間のかかる外壁」である漆喰壁やそとん壁など、左官の塗り壁なんかに比べると全然コストがかからないんです!

コストが意外にかからない上に耐久性も増すので、かなりお得な外壁材だと思います。

焼杉を外壁に使う欠点(デメリット)はあるの?

メリットはたくさんあることがわかりました。
ではデメリットはどうでしょう。

触ると黒くなる


施工中は手袋は必須・・・

これは、施工側からの観点としても、住む側からの観点としても言えることで、そして一目瞭然なことですが・・・・触ると黒くなります(笑)。
施工する際は、まず道具が真っ黒になりますし、工事中サッシなども黒くなります。
そう、触れるもの全てが真っ黒に・・・。

住人は、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭なんかだと面白がって触り、手が真っ黒に・・・なんてことも起こり得ます。
色の明るい服を着たまま外壁にもたれかかろうものなら・・・
はい、なかなか大変なことになります。

まぁ、汚れたものは掃えばいい、洗えばいいんですけどね(笑)

反ったり割れたりすることがある

杉板は自然素材です。
自然素材ということはサイディングと違い、反ったり割れたりする可能性があります。
反りや割れが起こったからといって外壁の性能が落ちるというわけではありません。
また反りや割れも、その家の個性と思えるのであれば、特にデメリットとして受け取る必要はないかもしれませんね。

焼杉にはどんな効果があるの?

ここでは焼杉がもたらす効果のお話をします。

メリットとも言えるかもしれませんが、「効果」のみについて詳しくお話しますね。

断熱効果

焼杉にすることで内部に空気層ができるため、断熱効果があると言われています。
私たちは、「真っ黒なものは日光を浴びるとめちゃくちゃ熱くなる」というイメージを持っていますよね。
しかしこの焼杉は、真夏の炎天下でも、そこまで熱くならないんです。

不思議ですよね。
同じ外壁材のガルバリウム鋼板だとこうはいきません。


(19HOUSE)
真っ黒なのでかなり熱くなってしまいます。
空気層をもつ自然木材との違いですね。

調湿効果

焼杉は調湿効果も期待できます。
自然木材は息をしているので調湿効果があるのは以前のブログでも何度かお話してきました。
焼杉も、焼いているとはいえ自然木材です。
外壁となったあとも息をし、調湿してくれます。
「内壁ならともかく、外壁の調湿効果って何か意味がある?」
と思われるかもしれませんが、外壁内部に結露が起こると家屋の劣化にもつながるので、外壁の調湿効果は意外と重要。
季節が変わるごとに湿気と乾燥を繰り返す日本にとても適した外壁材と言えます。
家を守るのが外壁。
ということは、外壁は色々な効果のあるものがいいですよね。

焼杉って種類があるの?

焼杉には以下のように主に2種類があります。

・三角焼きなど、真っ黒になるまで焼いたもの


真っ黒になるまで焼いたものは炭化層の厚みもあり、耐久性や断熱効果に優れます。
そのような意味合いから、外壁に向いているのはこちらのタイプだと言えます。

・バーナーで表面だけを焼いたもの

バーナーで表面だけを焼いたものは、表面を焼いているだけなので木目がうっすらと見え、モダンな雰囲気の家でもマッチします。
どちらを選ぶかは好みだと思います♪

焼杉のメーカーってあるの?

それでは焼杉を取り扱っているメーカーさんを少しご紹介したいと思います。 

中本造林 

https://www.nakamotozourin.co.jp/works/2541/

バーナー仕上で焼いてるものと、塗装タイプの焼杉を扱うメーカーさんです。

チャネルオリジナル 

https://www.channel-o.co.jp/jwillwall

こちらでは、従来の焼杉のほかに、焼杉の表面に「表現処理」をしたものも取り扱っています。

ファンマテリアル

https://xn--2qv74t.jp/product/

天龍焼杉の平板以外にも、焼杉板のつなぎ目にうつ材料である「押え縁」という商品も扱っています。
今回こちらを採用させて頂きました♪

共栄木材

http://www.kyoei-lumber.co.jp/site/products/p-yakisugi.html

こちらでは5種類もの焼杉を取り扱っています。
焼杉というと和風な家に合いそうなイメージですが、こちらの商品ではモダンな家に合わせることも可能です。

建築家、中村好文さんは共栄木材の焼杉を使っているらしいです。

中村好文さんって誰?って思われた方はこちらのブログをどうぞ♪
中村好文さんブログ

愛媛県にある伊丹十三記念館の外壁はこちらの共栄木材さんの焼杉みたいですよ!


(2013年11月伊丹十三記念館にて撮影)

焼杉ってどれぐらい耐久性があるの?

焼杉の耐久性については「30年はもつ」と職人さんたちは言います。
更に良く焼き炭化層が十分な厚みのある焼杉であれば50年以上はもつとのこと。
もちろん、焼いた部分がはげ落ちてしまったらそれはただの杉板になってしまうので、そこから腐ってくる恐れもあります。
耐久性はあるものの、他の外壁材と同じで点検・メンテナンスはもちろん必要。
焼かれた部分がはげ落ちても、再度炭化するのはとても危険なので絶対にしません。
その場合は塗料を塗って修繕しますが、その塗料も炭を使ったもの(墨汁など)を使えば目立つことなく修繕することができます。

メンテナンス費用は比較的安く住むので、その点もメリットと言えますね!

焼杉を縦貼りする時のジョイント(継ぎ目)はどうなっているの?


三角焼きをした焼杉ですが、もちろん裏は杉のまんま。
なので、通常の杉の木の色をしています。
じゃ、18mmのうちどれぐらい焼けてるのか?


こんなもんなんです。
18mmのうち多分3~4mmぐらいかな?

そして縦貼りをする時にどうするのか?というと。
上の写真のように斜めにカットします。


木口に黒の外壁塗料を塗ります。


塗るとこんな感じで真っ黒に♪


わかりにくいですが、こんな感じで張ってます。
こうすることで、木口から水をなるべく吸いにくくしているんです。
これは、伊丹十三記念館に行った時に中村好文さんがこういう施工をされていただのでパクりました(笑)


伊丹十三記念館の外壁焼杉のアップ写真
わかりにくいですが、同じように焼杉を斜めにカットして施工してありました♪

広島の実家の外壁も焼杉

この写真は築8年目ぐらい。
真っ黒のママですよね♪


ただ、節の所は焼きが甘いのか茶色くなってきてますね。

一部焼いてる部分が薄くなってそうなところもあります。
実家は、また広島に帰省した時にでも撮影してこちらに追記してこうと思います♪

焼杉のまとめ

今回は外壁材として使われる焼杉のご紹介でした。
最近都会ではめっきり見かけることが少なくなった焼杉。
西日本では外壁だけでなく、蔵やフェンスなどにも使われています。

た目が真っ黒になるのでインパクト大ですが、

・断熱効果
・調湿効果
・耐久性がある
・メンテナンス費用は安め

など、メリットもたくさんあって魅力的な外壁材です。
ただし、

・反りや割れが起こる可能性がある
・炭化した部分が多少はげ落ちて見た目に統一感がなくなる可能性がある
・汚れる

などのデメリットはあるので、神経質な方にはもしかすると向かない外壁材かもしれません。
いままで焼杉について聞いたこともなかった!という方もユニークな外壁材で、コストもそこまでかからないので、ご興味を持たれた方はぜひご相談くださいね!

おまけ

ここは一般の方はあまり興味ないかもしれませんが、施工される方は気を付けて下さいね♪

焼杉を止める時の釘は、スクリュー付きの釘にして下さい~
僕は真鍮が好きなので真鍮押しですが、ステンレスでもいいと思います。


うちの事務所で使ったスクリューなしの真鍮釘・・・
これは失敗でした。。。
どうなるかというと・・・・


木が反ってきて、真鍮のスクリューなしの釘だとこんな感じで浮いてきてしまって・・・・💦


なので、うちの事務所以降はちゃんとスクリュー付きの真鍮釘を使ってます♪

おしまい💖

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