天然木突板(ツキ板)と無垢板の違って何?
テーブルや家具に天然ツキ板とか突板仕上げ、と書いているものをよく見かけるのですが、突板って何なんですか?
とお客さんからよく質問されます。
(チークの突板(ツキ板))
そこで今回は、天然突板(ツキ板)と無垢板はどう違うのか?
また、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか、ご紹介していきたいと思います。
目次
天然突板(ツキ板)って何?シートなの?
天然突板(ツキ板)とは、天然の木を薄くカット?なんて表現をしたらいいのか・・・
かつら剥き?した木のシートを素材に貼り付けた化粧板のこと。
身近な物の代表的な例をあげると
- フローリング
- 室内ドア
- キッチンキャビネット
- 家具
などが当てはまります。
(突板(ツキ板)の建具)
ちなみに化粧材とは、合板などの素材表面に色々な方法で化粧仕上げを施したもので、無垢板よりも安く、反りやひび割れが起きにくいという特徴があります。
突板(ツキ板)は化粧板の中でも特に自然の温もりが感じられ、化粧板の中で最もランクの高い物として扱われているんです。
(チークの突板(ツキ板))
天然突板(ツキ板)を使った家具は、天然銘木を0.2~0.6㎜程度にスライスしたものを素材(家具本体)に接着させ、その上を塗装することで仕上げます。
(オークの突板(ツキ板))
天然突板(ツキ板)は「木」であり、天然突板(ツキ板)を貼る土台部分は「芯材」という合成材などで作られた材料を使用します。
芯材は家具の土台となり、木くずなどを固めて作るMDFや安価な無垢材(松や杉など)を使用したりしています。
つまり芯材は「家具本体」ということですね。
この芯材に突板(ツキ板)を貼り付けていくと天然突板(ツキ板)家具が完成します。
(チークの突板(ツキ板)を芯材に張り付けたもの)
希少性の高い材や高級な材でも広い面積でも作れる万能な板なので、デザイン性に優れた家具に使われることがほとんどのようです。
天然突板(ツキ板)は海外のアンティーク家具にも使用され、その歴史は約昭和20年から続いているみたいなんです♪
無垢板って何?
無垢板には「混じりけがなく純粋なもの」という意味があり、主に家具に使用されています。
具体的にいうと、無垢版とは木材を接着する化学製品を一切使わず、木を継ぎ足したり重ねたりもしていない、自然のまま切り出した材料のことです。
ただ、自然素材ならではの質感があるため、収縮や変形してしまうことも。
無垢材の家具を使うときは、その自然素材ならではの特性を味わいとして理解したうえで使うということが必要です。
時間の経過とともに変化していき、キズや色の変化を楽しむことができるのも本物ならでは。
素材が木そのものなので、長く使えば使うほど風合いと味が出てくるんです。
これは経年変化という現象で、木の色に深みが出てきたり、色褪せたりと木材独特の風合いがなんともいえないんですよね。
無垢板家具は、それぞれの木材から作られた世界に1つしかない家具ということになります。
使えば使うほど味が出てきますし、一般の方はもちろんですが家具マニアの方々にも人気があります♪
また、無垢板はかなり重く、かつ頑丈です。
したがって一度購入したら永く使用することができ、何十年もの長い期間で愛用できます。
無垢板家具はまさに一生ものの家具であると言えるでしょう。
無垢板と天然突板(ツキ板)ではどちらが安いの?
では、無垢板と天然突板(ツキ板)ではどちらが安いのでしょうか?
無垢板は、重厚感があり、何十年という長い期間を使用し続けることができます。
それに対して天然突板(ツキ板)家具は、木の風合いを感じることができ、尚且つ重量も軽くて取り回しがしやすいというのが特徴です。
木材を薄くスライスした天然突板(ツキ板)は、そもそも木材をそれほど使用していないため、価格は無垢板家具の約半分!(全部がそうとは限らないですが)
なので無垢板家具と天然突板(ツキ板)家具では、パッと見た感じの値段で安いのは天然突板(ツキ板)です。
ですが、長期的に見れば、何十年も買い替えることなく使い続けることができる無垢板の方が安くすむ場合もあるかもしれませんね。
無垢板のメリット・デメリット
無垢板家具のメリット
イ、木の質感や温もりを感じることができる
無垢板家具のメリットは、なんといっても木の質感や温もりを感じることができる点。
無垢板家具にしか味わうことができない、独特の肌触りや木の香りを楽しむことができます。
ロ、経年変化を楽しむことができる
無垢板は経年変化による風合いを楽しめるのがとっても魅力的。
時間の経過に伴って独特の味わい深さを楽しむことができます。
経年変化を楽しみたい人にぜひおすすめしたいです。
ハ、頑丈である
無垢板が多く使われている歴史的な建造物は、何十年経過してもなかな壊れていません。
無垢板はそれほど頑丈なのです。
二、安全性が高い
無垢板家具には接着剤が使用されていないので、ホルムアルデヒドなどの人体に有害な物質が少ないこともメリットの一つです。
小さな子どもの健康に配慮したり、長く使っていきたいとお考えの方は無垢板家具がおすすめかもしれませんね♪
ホ、補修がある程度可能
無垢板の家具は、傷ついてしまったり汚れがついても、なんと簡単に補修ができてしまうんです!
カンナなどで削り直すことで綺麗に補修できます。
引っ越しなどでぶつけてしまって傷が付いたとしても安心ですね。
無垢板家具のデメリット
イ、値段が高い
無垢板は他の木質材と比べると価格がかなり高くなってしまう傾向があります。
1本の木から家具として利用できる部分が限られてしまうため、必然的に値段が上がってしまうのです。
ロ、ひび割れが起こる可能性がある
木材は、温度や湿度の変化によって伸縮します。
それによって引き起こされるのが「ひび割れ」です。
無垢板家具をもっている方ならご経験があるかもしれませんね。
特に水分を多く含んでいる無垢板家具は、ひび割れや木が反り返る現象が起きやすいです。
購入する際は、含水率の少ない無垢板家具を選ぶようにしましょう。
ハ、移動が大変
無垢板家具は物によってはかなりの重さがあります。
そのため力が弱い女性や子どもが無垢板家具を移動させるには一苦労。
移動させるには何人かの助けが必要なので、そう簡単には動かせないのは不便ですね。
天然突板(ツキ板)のメリット・デメリット
天然突板(ツキ板)家具のメリット
イ、安価で木の風合いを楽しむことができる
無垢板家具なら木の風合いや奥深さを思う存分味わえますが、やはり価格が跳ね上がってしまいます…。
しかし、天然突板(ツキ板)の家具は無垢板よりは安く手に入り、木の風合いを楽しむことができます。
ロ、軽くて取り扱いやすく、移動する際にも扱いやすく使いやすい
無垢板家具のデメリットとして、家具丸々一つ全部が木材でできていることで、家具が重くなってしまうことが挙げられましたが、天然突板(ツキ板)の家具は無垢板家具とは異なります。
天然突板(ツキ板)の家具は、木材の材料を減らす為に芯材となる木材の中を空洞にしたフラッシュ構造などを採用しており、より軽い家具なのです。
移動も女性一人でも楽々運べるものもあります。
ちなみに弊社にはこんな天然木突板(ツキ板)サンプル帳があります♪
パラパラめくってみた動画(笑)
天然ツキ板のデメリット
イ、傷つきやすい家具には向かない
天然突板(ツキ板)家具の表面には木のシートが貼ってあります。
この木のシートがとっても薄く、何かをぶつけて傷をつけてしまうと中の芯材であるベニヤ板が簡単に出てきてしまいます。
そのためにテーブルなどの傷付きやすい家具で天然突板(ツキ板)を選ぶのはあまりお勧めできません。
(あくまで個人的な意見なので悪しからず💦)
ロ、経年変化を楽しむことができない
木材には時が経つにつれて色合いなどが変化していく経年変化があります。
ですが、表面に木のシートを貼っただけ天然の突板(ツキ板)の家具は、木特有の経年変化を楽しめないのです。
(といっても経年変化はするはず・・・・💦(どっちやね~ん!!って言われそう。。。))
ハ、縁貼りしたエッジ材がはく離する恐れがある
面と木口やコバ部分は接着剤でくっつけてあるので、捲れる可能性があります。
以上のように無垢板家具と天然突板(ツキ板)家具それぞれメリット・デメリットがあります。
性質を理解してそれぞれのライフスタイルに合わせて選択したいですね。
ニ、突板の幅が狭い場合建具などに使うと同じ杢目が並び、違和感がある。
私の実家なのですが・・・・この建具の扉かなり違和感がありますよね・・・・
無垢板家具は、メンテナンスをしながら質感と経年変化を楽しみたい方にぴったり、天然突板(ツキ板)家具は見た目とデザイン性を重視し、メンテナンスが楽な方が良いという人にお勧めです。
挽き板とは
挽き板(ヒキ板)とはスライスではなく、回転する鋸刃で切り出した板のことをいいます。
残りくずがたくさん出る分、コストアップになってしまいますが、スライスでは難しい厚みのある材を生産することができます。
2㎜無垢仕上げ「プライムフロアー」は挽き板を使用しています。
2㎜の厚みを持たせることで、無垢同等の味のある質感を出すのです。
1㎝厚以上のものが中心で天然ツキ板よりも厚めの木で、集成材や積層材にも使われます。
単層無垢板と比べると、壁材・床材・天井材の使用面積に対して天然木の表情を生かしたまま、木の繊維交互に積層接着する、または合板と組み合わせると、反りやひび割れなどの狂い防止の役割にもなるすぐれものなんです!
(アルブルインク様HPより引用)
http://www.arbre-shop.com/?pid=36842706
天然突板(ツキ板)よりも木材の扱いにくさを制御し難いという面はあるものの、木材の温もりや質感を残したまま生活性能や環境性能を兼ね備えた建材へと活用の幅を広げることができます。
基材が合板なので、無垢板よりも木の反り・収縮などの変形が極めて少ないんです。
機材の合板にも種類があり、合板の種類によっては反り・収縮が生起しやすいものもあります。
挽き板を使用したフローリングは複合フローリングと呼ばれます。
挽き板は、表面にキズが入っても下の合板が見えることはまずありません。(ただし2mmを超えるような大きな傷は合板が見えてきます)
挽き板を使ったフローリングなら、長期にわたって無垢の美しさを楽しむことができるでしょう。
天然突板(ツキ板)と無垢まとめ
現在の日本のトレンドとしては無垢板を褒め称える風潮があるのですが、無垢板ですべてを揃えていくのはあまりお勧めできません。
なぜならどうしても高額になってしまうことと、一旦購入してしまうと一生ものの家具になるために、自分の好みが変わったときに変更することができなくなるからです。
ある程度インテリアを楽しむためには、自分の好みが定まらないうちは、なるべく高額な無垢板家具をいきなり購入するのは控えたほうがいいかな、と僕は思います。
自分の好みがはっきりと分かってから、自分の家に永く置いておきたい無垢板家具を購入するのが賢明です。
また収納棚などの傷がつきづらい家具はそもそも無垢板家具でなくても十分であると言えます。
とりわけ稼働棚などを無垢で作ると、ずっしりと重く、女性では棚の高さを変えるのも一苦労になってしまいます。
最終的なポイントとしては、
イ、触れる機会が多く、傷がつきやすい種類の家具(テーブルなど)には、無垢板家具がオススメ。
ロ、傷つく機会が少なく、移動させる可能性の高い家具(収納棚など)には、天然突板(ツキ板)家具がオススメ。
ハ、ずっと永く使って、味を出していきたい家具には、無垢板家具がオススメ。
ニ、自分の好みが分かって、一生ものを見極める目がつくまでは、天然突板(ツキ板)家具がオススメ。
このように天然突板(ツキ板)家具・無垢板家具それぞれに長所と短所かあるのですが、性質を理解して自分のライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
手入れをしながら質感と経年変化を楽しみたいのなら、無垢板家具を。
見た目とデザインを重視し、価格を抑えたいのなら天然突板(ツキ板)家具、という感じですね。
どちらにしても、自分で気に入った物を使うのが一番!
だと僕自身は思います♪
ちなみに僕はもう自分の好みが変わると思っていないので、机やダイニングテーブル、テレビボードなどは全て無垢材で作ってます♪
2023.8.9追記
そんな天然突板(ツキ板)ですが、実際に汚れたときにどうやってメンテナンスしたらいいの?
ってお客さんから聞かれたのでYoutubeで動画撮影してみました^^
天然突板(ツキ板)をペーパーでこすってみて、どれぐらいこすると下地が見えるのか?
ご参考にしてもらえたら幸いです♪
結構削っても大丈夫です(笑)