造作建具って何??
弊社でいつも建てさせてもらうおうちの建具は、造作で全て作っています。
しかし造作建具って何なんですか?
って打ち合わせの時によく聞かれるんですよね。
これって、僕たち造作建具を使ってる工務店がちゃんと情報発信を出来ていないから皆さんに伝わっていないわけだと思うんです。
なので、ちゃんと文章として残しておこうかなと思います♪
(八尾の山の棲家の造作建具は黒板塗料を塗ってます)
目次
造作建具って何?
造作建具と聞いて、「ああ、うんうん、造作建具ね」という方はほとんどいませんよね?
建具という言葉だけなら使う機会もあるかもしれませんが、そこに「造作」がつくと、たちまち「???」になりませんか??
造作建具とは決められた素材、決められた形から選ぶのではなく、僕たち工務店が(正確には建具屋さんが)一からつくり上げる扉や仕切りのこと。
だから、デザインも形も大きさも自由なんです。
(和泉市の受け継ぐ住まいの玄関は造作建具のオンパレード)
夢が膨らみますよね♪
こだわって造る一点ものだからこそ、大きな価値があります。
(和泉市の受け継ぐ住まいのトイレガラス戸はお爺さんが建てた家の古いガラスを使ってます)
(既存の家で使われていた掃き出しサッシのガラス)
ではそんな造作建具、メリットやデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
造作建具を使うメリット
造作建具のメリットとして一番に挙げられるのは、やはりその「自由度」。
決められたことがほぼないので、好きな大きさ・好きなデザインでつくり上げることができます。
(堺市北区I様邸木のマンションリノベーション)
扉以外は自分の理想通りの家・インテリアに仕上がったのに、扉だけ決められたものから選ばなくてはならない・・・。
なんてことがあるとせっかく納得のいく家に仕上がりかけていたのに妥協しなければならなくなる・・・なんてことになりかねると思いませんか?
(西宮市H様邸ピーラーで作ったガラス入造作建具)
しかし造作建具であれば、玄関ドアから室内の扉まで家の雰囲気に合わせてつくることができます。
もちろん素材も選べますし、扉にガラスをはめ込んだりすることもできるので光の調整なども可能です。
さらに手掛けのデザインや扉のデザインにまでこだわれるので、扉自体の見た目だけでなく開けたときの見た目にまでこだわれますよ!
(住吉区KANA-HOUSEの造作建具)
また、もう一つのメリットとして、経年変化することによって味わいが出るということ。
年数を経るに従い、「劣化」ではなく「味わい」に変わるんですね。
最近の堀部安嗣先生のZOOMセミナーでは、劣化ではなく風化という言葉を使われていました♪
僕と近い感覚💖←世の中の建築をしてる人に袋叩きに合いそう(笑)
(KURAYAの事務所の既製アルミサッシを造作で作った玄関ドアに交換するところ)
僕はこういう、年月を経て出る深みとか味わいとかが大好きです。
(玄関ドアを造作建具で作ったKURAYA事務所)
造作建具を使うデメリット
では、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
造作建具は無垢材の場合、反りが出て開閉しにくくなる可能性があるということもしばしば。
無垢材は人間と同じで呼吸をします。
湿気を吸ったり吐き出したりする特徴があるので、最初の数年間は伸縮が避けられません。
もちろんそうなった場合の調整はしますが、最初の数年間はこのような調整が必要だということを覚えておいていただけると助かります。
また、価格面についても、デメリットと言えるでしょう。
正直造作建具は既製品と比べたら高いです。
価格比較については後述しますね。
造作じゃない建具って何?
では、造作建具ではない建具とはどのような物でしょう。
一から造り上げるものではない、つまり既製品の建具ということですね。
(リクシルのラシッサ)
決まった大きさ・決まったデザインの扉で、いくつかのデザインからお施主様に選んでいただくタイプの建具です。
これら既製の建具には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
既製品建具のメリット
一番のメリットはやはり価格。
既製の建具のほうが断然安い、というのは事実です。
価格の比較についてはのちほど詳しく解説いたします。
また、既製品なので取り寄せなどに時間がかからず、スピーディな施工ができるのも事実です。
既製品建具のデメリット
デメリットは、造作建具と違い「自由度」が極端に低いこと。
デザインが凝ったものもありますが、それでもやはり一から造るものに比べるとかなり制限されてしまいます。
また、既製品の場合は数年後に廃盤になってしまう可能性もあるため、壊れて修理したい場合に部品が手に入らない、なんてことも起こりえます。
しかし!!
造作建具であれば、このような心配はいりません。
なぜなら職人さんがまた一からつくってくれるわけですから・・・(笑)
(めちゃくちゃ造作家具を押してるブログ(笑))
なぜ造作建具で作るの?
僕個人的な意見を述べさせていただくと・・・・
やはり既製品の建具サイズって決まっていて(735㎜や750mm)その決まったサイズに開口部を合わせなければいけないんです。
19HOUSEの造作建具
例えば、80センチあけたら無駄な壁がなく全部開口するのに、既製品だと75センチの建具にするしかなく、5センチの無駄な壁ができるんです。
これって、なんか商品のほうに合わせて家を作らないといけないようで、なんとなく嫌なんですよね。
もし上記の建具を既製品で作ったとしたら。
こんな中途半端な壁ができるわけなんですよ!
って・・・・
これじゃわかりにくいか・・・・💦
KURAYAの事務所の玄関を入ったら打合せ室がすぐにあるんですけど。
そこにはこんな感じで造作建具が納まってます。
もしこれが既製品の建具だとした場合。
既製品の建具だと建具の幅に合わせないといけないのでこんな壁ができたりするんです・・・・
ってこれでも分かりにくいかも・・・・💦
もちろん、こういう考えをじゃない工務店さんやお施主さんもたくさんいます!
全然それでいいと思うんです♪
あくまで僕個人の意見なのでその点はあしからず・・・
造作建具と造作じゃない既製品の建具ではどちらが安いの?
先ほどの既製品の建具のメリットの点で少し触れた価格のお話です。
これは、もちろん既製品のほうが安いです。
なんだってそうですよね。
家具にしたって、服にしたって、既製品のほうが安いのは当然ですしコストを下げるために既製品が生まれたわけですから。
参考程度に玄関ドアで比べてみると、価格の違いは
既製品の玄関ドア・・・15万~50万ほど
造作建具の玄関ドア・・・30万~100万ほど
くらいになります。
もちろん、参考なので工務店さんやメーカーさんによっていろいろありますが、造作建具のほうが高いというのはお分かりいただけると思います。
造作で作った建具ってこんな感じ
それでは実際、造作で作った建具をご覧いただこうと思います。
デザイン、大きさ、素材が違えば、本当にさまざまな個性が生まれます。
(東大阪Y様邸戸建てリノベーション)
(19HOUSEのサッシに合わせた造作建具)
(大阪狭山市W様邸木のマンションリノベーション現場)
造作建具の素材ってどんなものがあるの?
造作建具の素材は本当にさまざまです。
まず、建具に使われる木材は、その条件としてなるべく伸縮や反りが少ないものということが必要になってきます。
そのためには、木材の中でも条件に合う一番いい物を使う必要があるのです。
具体的によく使われる木材の例を挙げると・・・
・杉(結構赤身を使うことが多い)
(堺市北区I様邸木のマンションリノベーション 杉の赤身の障子の造作建具)
・スプルス
(東大阪市Y様邸木の戸建てリノベーションの造作建具)
・ピーラ(米松の柾目)
(西宮H様邸木の家新築現場の造作建具)
などがあります。
また、素材だけでなく「仕上げ」にもいろいろあり前回のブログでもお話した
・シナベニヤフラッシュ仕上げ
(住吉区KANA-HOUSEのトイレドア)
・ラワンベニヤフラッシュ仕上げ
(堺市北区Y様邸木のマンションリノベーション ラワンフラッシュ建具にこげ茶の着色)
などがあります。
↑
前回のブログはこちらから♪
フラッシュ仕上げとは、梯子状の骨組みの両面にベニヤを貼って仕上げる方法。
主にドアに使われ、軽量かつフラットな面が特徴です。
素材もさまざまであるように、デザインもさまざまで障子のように格子組みや框組をしてポリカをいれるなど、バラエティにとんでいるので必ず好みのドアや仕切りを造ることができます。
造作建具の場合枠はどうなるの?
既製品のドアの場合、枠も建具も全てセットでメーカーから届きます。
(永大産業様カタログより抜粋)
その点では確かに便利ではあります。
しかし、造作建具の場合は枠も無垢の木を使って一から加工します。
文章で説明しても少し難しいかもしれないので、下の加工図をご覧ください。
(枠加工図)
こんな感じで枠加工図面というのを僕たち現場監督が書きます。
この図面を加工屋さんに送って、この形に加工してもらうんです。
(左上の加工図面を書いた建具枠がこんな感じで出来上がってきます)
個人的には、一から全てをつくり上げることが好きなので、こんな枠図を書いて加工屋さんに依頼して搬入も自分たちがして(笑)
それでもつくることも全然苦ではありません!(多分w)
造作建具を動かしてみた
(大阪狭山市W様邸木のマンションリノベーション)
閉じてる所。
(大阪狭山市W様邸木のマンションリノベーション)
ちょっと回ってる所。
(大阪狭山市W様邸木のマンションリノベーション)
あいた所。
最後はあばれる君が、桑田真澄の真似をする真似をしてみた(笑)
(めちゃ気持ち悪い(笑))
造作建具のまとめ
個人的には既製品の建具に縛られたくないので、あけたい寸法で開けれる造作建具をお勧めします!
(偏ってる意見だと思いますが(笑))
家って、「つくり上げる」って言葉がピッタリだと思うんですよね。
そして家は、壁や屋根だけではなく床も建具もすべてをひっくるめて「家」だと思います。
なので、家の全てをつくり上げる!それがとても楽しいんです!
もちろん、決して既製品の建具を作っているメーカーさんを否定してるわけではないですよ!
既製品にももちろんいい点があります。
コスト削減もその1つです。
それぞれのお施主さんに予算があり、それぞれのお施主さんに理想の家がある。
なので、結局はお施主さんに納得いただける家をつくることが僕たちの仕事なんですよね♪