高断熱高気密(高気密高断熱)の家が本当にいいのか?快適な家ってなに?
ここ近年良く聞く「高断熱高気密(高気密高断熱)」の家。
このタイプの住宅が普及する前の日本の住宅と、一体何がどのように違うのでしょうか。
今回のブログでは、高断熱高気密(高気密高断熱)の家がどれだけ優れているか、またメリット・デメリットなどについて解説します!
知っているようであまり知らない高断熱高気密(高気密高断熱)の家について、ちょっと専門的なことまでご紹介しますね♪
目次
高断熱高気密(高気密高断熱)の家とは?
高断熱高気密(高気密高断熱)の家についてご説明する前に1つみなさんに知っておいてほしいことがあります。
それは
「高気密高断熱住宅」ではなく「高断熱高気密住宅」であること。
「高断熱」のほうが先にきます。
Googleで検索すると、「高気密高断熱」のほうが圧倒的に検索結果が多いのですが、実は「高断熱高気密住宅」が正式名称。
この言葉は、国立大学法人 室蘭工業大学 鎌田名誉教授がつけた名称です。
高断熱住宅を作ろうとしたとき、高気密が必要となり、「高断熱高気密」としたんです。
なので、発想としては高断熱が先に来たんですね。
高断熱にしようとすると、空気が逃げるのを防がなければなりません。
そうすると、高気密も必要となる、ということです。
覚えておいて下さいね!
さて、では「高断熱高気密」とはどういうことか。
字を見ればだいたい想像はできると思いますが、
断熱性=室内外の温度の出入りの小ささ
気密性=室内外の空気の出入りの小ささ
です。
要するに、部屋の中の温度を外に逃がさず、冷たい・暑い空気が外から入ってきにくい住宅、ということですね。
北ヨーロッパ発症の工法
高断熱高気密(高気密高断熱)住宅は、寒さの厳しい北ヨーロッパで開発され、その後北ヨーロッパの気候に似ている北海道で研究された工法です。
北海道で防寒住宅への融資がスタートしたのはなんと1953年。
高断熱高気密(高気密高断熱)住宅は最近のもとというイメージがありますが、その歴史は意外と長いんですね。
それもそのはず、北海道や東北という寒さの厳しい地域では高断熱高気密(高気密高断熱)住宅の必要性は理解されても、東北から南の地域では、その必要性がなかなか理解されなかったのです。
しかしのちのち、冷房の効きもよくなることがわかり徐々に日本全土で普及していき、今ではほとんどのハウスメーカーがこの高断熱高気密(高気密高断熱)住宅を建てています。
(と願いたいだけで、実はそうではないのが現実ですが・・・)
快適な家に必要な「断熱性」
「住み心地のいい家」「快適な家」とは一体どんな家のことをいうのでしょうか?
みなさん、思い浮かびますか?
広い家?
間取りが素敵な家?
導線が完璧に計算されている家?
どれももちろん素敵ですよね。
しかし、考えてみてください。
これらの一見完璧に見える家が、冬は隙間風が入り込んでめちゃくちゃ寒く、夏はじめじめと暑苦しい家だったら・・・・。
(以前解体現場で見た断熱材の施工不備物件)
どんなに見た目や使い勝手のいい家でも、これでは快適とは言えませんよね。
そう、だから「快適な家」には断熱性が必要なんです。
(以前解体現場で見た断熱材の施工不備物件)
「熱」を「断って」くれる家。
冬は室内から熱が逃げるのを防ぎ、夏は冷房の涼しい空気が逃げるのを防いでくれる。
大阪市住吉区KANA-HOUSE
そんな「断熱性」が、快適な家には欠かせない要素なのです。
内断熱と外断熱
では、「高断熱」の家はどのような工法で建てられるのでしょうか。
高断熱住宅のを建てる工法には
・内断熱
・高断熱
の2種類があります。
それぞれの工法について解説しますね。
内断熱
内断熱とは、柱、天井、壁などの構造体の内部に断熱材を充填する工法で、「充填断熱工法」と呼ばれることもあります。
大阪市住吉区KANA-HOUSE
断熱材にはグラスウールやロックウールとよばれる繊維質のものが仕様されることが多く、断熱材のコストも比較的安いのでコストも抑えられるというメリットがあります。
このうち内断熱工法は、多くの業者が施工している一般的な断熱の工法なんですよ。
外断熱
「外張り断熱」ともよばれるこの工法は、外装材のと構造材の間に断熱材を設置して、建物全体を断熱材で包み込むようなイメージです。
写真は外断熱専門店、浜松の株式会社 樹々匠建設さんからお借りしました
防湿性、気密性に優れているので、結露が発生しにくいというメリットがあります。
魔法瓶をイメージするとわかりやすいですね。
断熱材にはウレタン系、ポリスチレンなどの発泡系が使用されます。
ただし、この工法は内断熱工法に比べ難易度が高く、施工に慣れている業者も少ないため、内断熱工法よりコストは高めとなります。
写真は外断熱専門店、浜松の株式会社 樹々匠建設さんからお借りしました
目安の数値
断熱性を測るときに目安とされる数値に、C値、UA値、Q値というものがあります。
それぞれが指す言葉の意味は以下の通りです。
C値:隙間相当面積 単位:cm2/m2
UA値:外皮平均熱貫流率 単位:W/m2・K
Q値:熱損失係数 単位:W/m2・K
少しマニアックにはなりますが、それぞれの数値に関してわかりやすく簡単にご説明しますね!
C値
C値とは、建物の床面積1㎡あたり隙間面積を表す値です。
小さいほどに気密性が高いということになり、後述するUA値、Q値で表される断熱性を実現できるかどうかは、このC値によって大きく変わってきます。
↑このブログでも少しC値の事を書いてます。
UA値
外皮平均熱貫流率を表すUA値とは、家の内側と外側との熱の移動のしやすさを表す数値です。
UA値が小さいほど熱の出入りが少ないということで、断熱性も高いということになります。
Q値
Q値は熱損失係数で、UA値と同じく、家の内側と外側の熱の移動のしやすさを表す数値となっています。
このQ値は現在は国の基準としては使用されていませんが、長年使われていたため知名度が高く、現在も多くのハウスメーカーがQ値を用いて断熱性能を説明しています。
高断熱高気密(高気密高断熱)の家|メリット・デメリット
さて、ではおそらく皆さんが一番知りたいと思っているであろう「高断熱高気密(高気密高断熱)の家のメリット・デメリット」についてご紹介していきましょう。
メリット
高断熱高気密(高気密高断熱)の家にするメリット。
それには主に以下のようなことがあります。
・冬も温かい
・健康に過ごすことができる
・家計にも優しい
冬も温かい
高断熱高気密(高気密高断熱)住宅では、発生した熱が外に逃げにくく、室温が下がりにくいので快適な温度が長続きします。
また、部屋のドアを開けていても温かい空気が均一に広がるため、家のどの場所にいても温かい状態が保たれます。
健康に過ごすことができる
国交省が発表したデータに、
「温かい家で過ごす人たちは、病気の疾病率、血圧、コレステロール値、心電図などのさまざまな項目において寒い家に暮らす人たちと比べ明らかな差がある」というものがあります。
冬の寒い夜中にトイレに起きることが精神的に苦痛など、寒い家で暮らす上で受ける精神的ストレスなどが原因と考えられています。
また、冬によく怒るとされているヒートショック。
これは浴室と脱衣所の温度差が原因とされていますが、高断熱住宅では各部屋の温度差が少ないためヒートショックも起こりにくいとされています。
このように、安全に過ごせることも高断熱住宅のメリットですね。
家計にも優しい
高断熱高気密(高気密高断熱)住宅は人間の体だけでなく、家計にも優しい住宅です。
冷暖房の効きが良いため、より少ないエネルギーとより短い稼働時間で済みます。
このため、断熱性、気密性の低い家に比べると年間の光熱費は大きく違ってくるのです。
↑19HOUSEの電気明細も載ってます
実際どれくらいの差になるかは具体的な数字を用いて後述しますね。
デメリット
高断熱高気密(高気密高断熱)住宅はたくさんのメリットがあることがわかりましたね。
しかし、デメリットがあるのも事実。
メリットだけではなくデメリットを知っておくのも大事なので、きちんと見ていきましょう。
高断熱高気密(高気密高断熱)住宅のデメリットは以下の通り。
・建設費用は高め
・結露リスクを高める恐れがある
・石油ストーブが使えない
建設費用は高め
当然のことながら、高断熱高気密(高気密高断熱)住宅の断熱材や工法は、通常の住宅を建てるのに比べ高くなります。
しかし、光熱費が節約できるので長い目でみればそこまで損をする、ということにはなりません。
初期費用がかかる、という認識でいてください。
結露リスクを高める恐れがある
このデメリットは、高断熱であっても高気密ではない住宅に当てはまるものです。
高断熱で気密性の低い住宅だと、温かく湿った空気が外壁内部、天井、床下などに漏れ出てしまいます。
そうすると、温かく湿った空気は外の寒い空気に触れ大量の結露を発生させてしまいます。
結露は構造材や床下にカビを発生させ、住宅がもろくなるほか、住人の健康にも害を及ぼす可能性があるのです。
石油ストーブが使えない
これは、法的に使えないなどと言う意味ではなく、高断熱高気密(高気密高断熱)住宅では換気量の関係上、二酸化炭素を多く排出する石油ストーブを使用することは危険なため使えない、という意味です。
高断熱高気密(高気密高断熱)はとってもエコ!
メリットのセクションでも触れましたが、高断熱高気密(高気密高断熱)住宅は光熱費が安く済むので、とってもエコなんです。
ではどれくらいエコなのでしょうか。
具体的な数字をお見せしながら解説します。
電気代を昭和期に建てられた家と比較
下の表は昭和55年以前に建てられた家と、現在の断熱基準レベルの住宅でかかる冷暖房費を比べたものです。
1年間の電気代 | 35年間の電気代 | 差額 | |
昭和55年省エネ基準 | ¥133,000 | ¥4,655,000 | ¥2,835,000 |
平成28年省エネ基準 | ¥52,000 | ¥1,820,000 |
単純計算ではありますが、35年でその差はなんと283万円にもなります。
かなり大きな差ですよね。車が1台買えてしまう金額です。
また、使用エネルギー量が減るということは、冷暖房機器、室外機への負担も減るため、それらの寿命も長くなり、買い替えの頻度も減ります。
そう考えると、この283万円はもう少し大きい金額になるかもしれませんね。
ただあくまで単純な比較。
昭和55年ぐらいの家で電気代13.3万!?ほんとに??もっとかかってそうですよね。
平成28年の電気代も家族が何人なのか!?生活も違ってくるのであくまで目安です。
高断熱高気密(高気密高断熱)の家のまとめ
今回は高断熱高気密(高気密高断熱)住宅、特に「高断熱」の住宅について、またそのメリット・デメリットについてご紹介しました。
高断熱住宅は現在日本全国に普及していて、多くのハウスメーカーが高断熱住宅を建てています。
(そう願いたいだけで実際は違うけど‥‥)
実際高断熱高気密(高気密高断熱)全館床暖房の家での生活を経験したあと、冬に古い住宅にお邪魔したりするとトイレやお風呂に行くのが億劫になります。
自分の家で体感してる本人が言うので間違いないです(笑)
昔の日本の家のイメージといえば冬はこたつでゴロゴロとし、できるだけその場から離れないようにする、というものでしたが、高断熱高気密(高気密高断熱)住宅ではこたつさえ必要ない、という場合も多いのです。
初期費用は高くなってしまいますが、その後の光熱費の差を考えると、絶対に高断熱高気密(高気密高断熱)住宅にしたほうがお得だと思いますよ♪
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