マンションリノベーションでする内部解体工事の話
以前、マンションの全面リノベーションをする時に内部をスケルトンにするという話をしましたよね。
間取りを自由に変えることのできる、スケルトンマンションリノベーション。
今回はそのスケルトンの状態にする解体工事の事を書いてみたいと思います。
「スケルトンにする」と簡単に言っても、壁やら配線やらすべて撤去するのは簡単なことではありません。
それでは実際解体とはどのように行われていて、時間はどれくらいかかるのでしょうか。
また、解体工事中に気を付けなければならないことなどを、写真もお見せしながら詳しくお話しします!
目次
マンションの内部解体(スケルトン)ってどうやってするの?
「解体」なんて言葉を聞くと、大きな重機で壊していくところをイメージしますが、マンションの内部解体はそうはいきません。
重機なんてもちろんはいりませんし、重機でバリバリバリー!なんて解体したら、お隣さん、階上、階下の住民にものすごく迷惑がかかってしまいます。
では、あの壁やらキッチンやら浴室やらはどうやって解体するのでしょう…。
答えは、なんと「手作業」。
そう、手や、決して大きいとはいえない工具を使って解体していくんです!
「この便利になった現代の世の中、もっと簡単にバラバラっと出来そうなもんじゃ?」
と思いませんか?
マンションの解体は、解体屋さんという職業の方が手作業でばらしていくしかないんです。
マンション内部の解体工事に関わる人数やリフォームする部屋の状態にもよりますが、70平方メートルの部屋で、解体スタートからすべてのゴミを出し終わるまでだいたい5~8日かかります。
【写真:マンションの内部を手作業で解体していく様子】
まずは畳や建具など外せるものから搬出していってます。
【写真:ガス屋さんがガスを止める様子】
解体を着工する日には、ガス屋さんにもきてもらい、ガスを止めてもらいます。危険ですからね。
マンションのお隣さんや近隣からクレームはないの?
以前のブログでもお話ししましたが、マンションリノベーションが決まった時点で、リノベーション会社もその部屋に住む予定の依頼主も、きちんと近隣には挨拶をします。
挨拶があるのとないのとでは近隣の方への印象が大違いです。
マンションリノベーション中の騒音への理解をいただくのはもちろん、その後の近所関係へも大きく影響します。
ただ、挨拶をきちんとしても、騒音に関してクレームを言ってこられる方はいらっしゃいます。
その際はきちんと誠意をもって対応し、工期がどれくらいになるのかをもう一度きちんと伝えることが大切です。
人は終わりが見えると頑張れますからね。
騒音もいついつまで耐えれば終わる、と示してあげると近隣住民の方もホッとします。
マンションの解体したゴミってどうやって出すの?
【写真:マンションの解体したゴミをのせるトラック】
マンションの内部解体ででた大量のゴミ…
想像を絶する量です。
下の写真のようなトラックの、何台分も、ときには何十台分も!!
解体も手作業なら、ゴミを運び出すのも手作業です。
下の写真のうように、大きな箱にゴミを入れて運び出します。
途方もない作業ですよね・・・。
【写真:手作業でマンションの解体ゴミを運び出す様子】
ゴミを運ぶためのトラックなどを置く場所は、もちろん事前にマンションの管理人さんに確認して、なるべく住民の迷惑にならないよう配慮します。
マンションエントランスから遠いと、運ぶのも一苦労。。。
台車を転がすのでシートで地面を養生をしたり。
【写真:マンションの解体ゴミを運び出してトラックに乗せる様子】
マンションの共用部(廊下など)は汚れないの?
マンションリノベーション自体は、マンションの部屋の内部で行われることですが、戸建てと違い、その部屋に行くまでの道のりには共用部と呼ばれる「エントランス」「ホール」「廊下」「エレベーター」などがあります。
ひとつの部屋のマンションリノベーションをするのに、これらを汚してしまっては他の住民さんはもちろん気分が良くないですよね。
他の住民さんが気になることは騒音のほかに、このマンション共用部のことだと思います。
マンションリノベーションを行う際は、これらマンション共用部をしっかりと養生し、マンション共用部にキズを付けたり汚してしまったりしないよう、細心の注意を払います。
【写真:マンションのエレベーターから部屋までの廊下ももちろん養生します】
【写真:マンションの廊下の地面部分だけでなく、周りの壁や柵などもきっちり養生】
【写真:マンションのエレベーター内の養生の様子①】
【写真:マンションのエレベーター内の養生の様子②】
【写真:マンションのエレベーター内の養生の様子③】
工事期間を通してこの養生を施しておきます。
ただしマンションによっては、この養生を毎回外さないといけない所もあって・・・
これはかなり辛いんですよね。。。
解体前のマンションの電気は通電してないの?解体して大丈夫?
マンション内部の解体作業中に通電していたら、なんだか危険なイメージですよね。
その通りです。
なので、マンション内部解体開始前日に電気屋さんに入ってもらい、分電盤から電気を全部切ってもらいます。ただし、工事中電気はつかうので分電盤近辺でコンセントを1セットだけつけておきます。
【写真:電気屋さんに電気を切ってもらっている様子】
【写真:マンションの火災報知器を天井から浮かせている状態】
ほとんど全てのものを新しくするスケルトンマンションリノベーションですが、火災報知器やインターフォンは既存利用となる場合が多いんです。
なので、写真のように天井から浮かせておき、リノベーション後にも同じものを使います。
火災報知器の位置が移動することも多々あるため、配線を延ばさなといけない場合もあります。
【写真:マンションのインターフォンは共有なものがほとんどなので、既存利用①】
【写真:マンションのインターフォンは共有なものがほとんどなので、既存利用②】
【写真:マンションのインターフォンは共有なものがほとんどなので、既存利用③】
マンションのスケルトンをした後はどんな感じ?
【写真:マンション内部の壁などをすべて解体し、スケルトンにした状態①】
マンション内部の壁や水回りなどすべて撤去した、完全な「スケルトン」の状態は、写真のように配線がむき出しになった状態です。
ここまでの状態にするからこそ、間取りまでおおきく変えることができるんです。
さて、この状態になったときに確認したいことがいくつかあります。
それは、
・躯体のひび割れ(これについては後述します)
・漏水跡
これら二つがあった場合は、マンションリノベーションが完了したあとでは補修できないので、この時点で補修しておかなければなりません。
見つかった場合はすぐに管理会社に伝え、補修してもらうようにします。
【写真:マンションの排水竪管の漏水】
兵庫区のO様邸で解体して見つかった共用部の竪管の漏水。
マンション内部解体時にぶつけてなった漏水ではなく、以前から自然に漏水てた部分でした。
今回スケルトンにしたので見つけれたけど、ずっと漏れてたんでしょうね・・・・。
【写真:漏水を復旧させた共用部の竪管】
無事管理会社から手配してもらい漏水個所を直してもらいました。
以前書いたマンションリノベーションについて詳しく書いたブログでも、配管や給排水管について言及しているのでこちらもぜひ読んでみてください!
↓↓↓
マンションリノベーションとマンションリフォームの違いって何?工期や費用は?
【写真:マンション内部の壁などをすべて解体し、スケルトンにした状態②】
ここまでの状態になってしまったら、解体前はどんな部屋だったのか想像もできないですよね。
まっさらになったこの状態から、一体どんな部屋になっていくのか、わくわくします。
マンション内部の解体の時に気を付けないといけない事
電話の引き込みの位置
マンション内部の既存電話の引き込みの位置は解体時にきちんと場所を確認する必要があります。
天井のRC(鉄筋コンクリート)に埋め込んであることが多く、カラ配管の中を通している場合がよくあります。
電話の親機はほとんどがリビングに置くことになるので、のちのち「リビングに電話口がない!!!」なんてことのないようにしっかり確認します。
また、インターネットの光配線を引くかどうかでも電話の引き込みの位置が大切になってきます。
【写真:マンションの天井からのびる電話の配線】
【写真:マンションのスケルトンにした時の電話口の位置のチェック】
マンションの既存テレビの配線
マンションのテレビ配線も、物件によってはマンション上階からアンテナの配線が通っておりそのまま下階に行っている物件もあるので、きちんと確認しておく必要があります。
そのような物件では、マンションの内部解体の際にきちんと確認せずテレビの配線を切ってしまうと下の階のテレビが見られなくなってしまいます。
ただでさえ騒音でご迷惑をおかけしているのに、そんなことになったら・・・・。
考えるだけで恐ろしいですが、実際起こってしまったことがあります・・・汗
【写真:芦屋O様邸現場にて】
【写真:テレビの配線を切ってしまいました】
一度このテレビの配線を解体で切ってしまい、下階の方の家に入らせて頂いたことがあります・・・・。
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こうなると、下の階の方にもご迷惑をかけてしまいますし、時間のロスにもなります。
きちんと確認しなければ行けない理由がおわかりいただけたでしょうか・・・
マンションの内部を解体したら阪神大震災の影響で躯体がひび割れしてた
マンションリノベーションは、解体してみなければわからないこともあります。
躯体のひび割れもその一つ。
こちらのマンションは、壁などを取ってはじめて、阪神大震災の影響で躯体がひび割れていたことがわかりました。
↓↓↓
【写真:マンションの内部壁を取り除いたらひび割れがみつかりました】
上の写真は、まだ断熱材が貼られている状態ですが、はがすとかなりのひび割れがおきていることがわかります。
阪神大震災がどれだけすさまじかったかがわかりますね。
【写真:マンションの壁についた断熱材をはがしています】
【写真:マンションのRC躯体のひび割れの幅をチェック】
こちらのひび割れは、マンション自体を建てたゼネコンさんにきていただき、補修してもらいました。
エポキシ樹脂を注入して最終補修完了です。
【写真:エポキシ樹脂を注入して最終補修】
【写真:マンションのスラブも解体を行ってみつかったひび割れ】
このように、マンション内部の解体前の部屋の様子を見ただけではわからないこともたくさんあります。
そんなことが起きた場合も、臨機応変に対応していくことが大切。
絶対にやってはダメなのは、見て見ぬふりをすること。
めんどくさいから、ほっとこうとかそういったことをするとマンション全体の問題になるので必ず管理会社さんに報告をして直してもらいましょう。
このようなひび割れも、きちんと補修すれば全く問題なく住むことができるので、管理会社さんにもきちんと説明して対応してもらいましょうね!
ちなみに躯体のひび割れに関しては、誰が費用負担するかはマンションによって条件がことなるのでしっかり規約をチェックする必要があります。
マンションの共用部の廊下・マンションベランダ部分が格子の時は注意
マンション共有部の廊下、マンションベランダ部分が格子の場合、特に注意を払わなければいけません。
なぜでしょうか。
ひとつは、格子の隙間からものが落下しやすいという点。
マンション内部の解体で出た廃材や、工事に使う工具などが格子の隙間から落下するとかなり危険ですよね。
多くの人が住むマンションだからこそ、落下した場所に人がいる可能性も大、です。
もう一つは、格子のほうが強度が弱い、という点です。
共用部の廊下やベランダが格子ではなく壁になっている場合は、強度も格子に比べると強いので最悪、何かがそこにぶつかってしまっても、そこで食い止めてくれます。
しかし壁に比べ格子はどうしても強度の面では劣るので、何か強い衝撃があった場合は外れてしまう可能性もあります。
そうなると、そのまま物が落下してしまったりする可能性もあり、先ほども言いましたが大変危険なことになってしまいます。
共用部なのでもちろんキズを付けたり壊したりしないよう注意はしますが、格子の場合は更に注意が必要になります。
【写真:マンション廊下の手すりが格子のパターン】
【写真:マンション廊下の手すり格子も落下しないようにきっちりと養生をする】
こうすることで少しは安心しますよね。
マンションの内部解体のまとめ
今回はマンションリノベーションの解体にまつわるあれこれを書いてみました。
スケルトンマンションリノベーションの解体工事は手作業なので時間がかかりますし、出るゴミの量も多くなります。
マンションの共用部養生もしっかりしなければ、他の住民を不快な気持ちにさせてしまったり、迷惑をかけてしまいますよね。
一つの部屋のマンションリノベーションですが、マンションとなると近隣の方々への配慮なと、気を付けなければいけないことがたくさんあるんです。
また、今回ご紹介したひび割れなど、解体して初めてわかることなどもあるので臨機応変に対応していくことが大切です。
一言で「スケルトンマンションリノベーションの解体工事」と言っても、大工さん、電気屋さん、水道屋さんなど多くの人が関わり、多くの段階を経て行われるんです。
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