床暖房を使うと無垢の床材って使えないの?
先日打ち合わせをしていた際に、80代の方から
「床に無垢材を使いたいのですが、床暖房も使いたい」
と言われました。
(八尾の山の棲家 ガス温水式床暖房)
床暖房は確かにヒートショックの予防にもなるし、ご高齢の方は足元から冷えてくるとかなりこたえると思います。
弊社では、基本的に床材に吉野杉を使うため床暖房はいらないとお伝えしています。
ただ、今後もこのようなご要望、ご質問をお受けすることは多いと思いますので
〈実際無垢床にした時に本当に床暖房はいらないのか?〉
〈床暖房に使える無垢材はないのか?〉
という内容で今回はブログを書いてみたいと思います。
目次
床暖房ってなに?
ではまず、床暖房について少しお話したいと思います。
床暖房は読んで字のごとく、床そのものを温める暖房のこと。
床の下に張り巡らされた熱源の熱が床を伝わり、部屋中に広がります。
熱源には種類があり、その種類によって導入費用もランニングコストも異なります。
ではまず、床暖房のメリットやデメリットを詳しく説明していきます♪
床暖房のメリット
床暖房を取り入れることで得られるメリットにはどのようなものがあるでしょう。
床暖房では、温かい空気が上に・冷たい空気が足元にたまるということがありません。
部屋中均一温度になるため、暖房を付けているのに足元は寒く、頭は熱くてぼーっとするなんてことが起こらないのです。
また、温風を出すエアコンやストーブと違い、ホコリを舞いあげることもないため、健康面のリスクも軽減されます。
さらに、床暖房はストーブやエアコンのように音が出ません。
付けているのか消しているのかわからないくらい静かなので、音が気になって眠れない!なんてこともありません。
(八尾の山の棲家 ガス温水式床暖房)
床暖房のデメリット
床暖房のデメリットとしては、初期費用の高さをお伝えしておかなければいけません。
リフォームをする際に床暖房を導入するとなると、1畳あたり8~15万円ほどかかることも。
(価格はあくまで概算で地域・商品によって変わってきます)
エアコン1台より遙かに高い金額で1畳しか施工できないと考えると、かなり高額であることがわかります。
また、床暖房は部屋が温まるのに時間がかかります。
スイッチを入れてから早いものでも約1時間かかります。
外から帰ってきたときに温かい部屋がいい、という場合は出かける前にスイッチを入れておいたほうがいいでしょう。
床暖房+無垢のフローリングにするメリット
独特の肌ざわりや、木のぬくもりを感じることができることが特徴の無垢フローリング。
そこに床暖房をプラスすることで、木のぬくもりプラス・体感的なぬくもりも得ることができます。
床暖房に似たものに、ホットカーペットがあります。
ホットカーペットも床暖房同様足元から温める暖房器具ですが、ホットカーペットを敷いてしまうと、せっかくの無垢のフローリングの肌ざわりや風合いを楽しむことができません。
床暖房にすれば、無垢フローリングの良さを最大限に活かしつつ、温かい部屋を手に入れることができますね。
床暖房+無垢のフローリングにするデメリット
この場合もまた「コストがかかる」という点が挙げられます。
床暖房の初期費用だけでも高いうえ、床暖房対応の無垢フローリング材も通常の床材に比べ高めです。
床暖房に無垢フローリング材を使用したい場合は、しっかりと費用を計算し、予算を組むことをオススメします。
ガス温水式床暖房とは?
ガス温水式床暖房とは、床の下に温水パイプを敷き詰め、そのパイプの中の水をガスの力で温めるという床暖房です。
月々の光熱費は、後述する電気温水式床暖房より安くなります。
ただし、メンテナンスの面ではそれほど差はありません。
どんなメーカーがある?
ガス温水式床暖房を提供しているメーカーをご紹介します。
(大阪ガスカタログ抜粋)
ガス温水式床暖房のメーカーとしては、大阪ガスおよびリンナイが大手で人気があります。
大阪ガス「はやわざ」
「はやわざ」は、簡単に設置できる後付けタイプの床暖房で、戸建て用・マンション用があります。
今ある床を外さずに設置できるのが最大の特徴で、その分工期も短くて済みます。
仕上げ材もフローリング・畳・カーペットから選択できるため、全てのお部屋タイプに対応可能です。
リンナイ「床ほっとE」
リフォーム向けのこちらの商品は、消費エネルギーを抑えながら部屋を温めることができるのが特徴。
また、通常ガス温水式床暖房は立ち上げに1時間程かかるところ、床ほっとEであれば約45分とかなりスピーディ。
大建工業「はるびよりシリーズ」
こちらは仕上げの床材と一体の温水器なので、施工も簡単です。
しかもガス・灯油・ヒートポンプ式など様々な熱源機に対応してるんです。
電気温水式床暖房とは?
電気温水式床暖房とは、電気の力で温めた水をパイプ内を循環させることで温める床暖房のことです。
どんなメーカーがある?
それでは電気温水式床暖房のメーカーにはどのようなものがあるのでしょうか。
パナソニック「温水床暖房 You温水」
パナソニックの「温水床暖房 You温水」は床材の内部に温水パイプを内蔵しているタイプ。
仕上げ材と一体化しているということですね。
先ほどの大建さんの商品と同じですね。
受注生産となっているため、好みの仕上げ材にパイプが内蔵された状態で納品されます。
リビングなど、広いお部屋に段差を作りたくない方にオススメ。
ダイキン「ホッとく~る」シリーズ」
「ホッとく~る」シリーズは、エアコン連動型の温水床暖房。
1台の室外機で床暖房を含め最大5台まで接続することが可能で、床暖房とエアコンを使って同時に部屋を温めることができます。
このため、床暖房だけを使用して部屋を温める時間の約2分の1の時間で部屋を温めることが可能。
過去に2度も「省エネ大賞」の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しているとても優秀な商品です。
大建工業「はるびよりシリーズ」
大建のはるびよりシリーズは、熱源がガス・灯油・ヒートポンプと選ぶことができるんです。
ガス式でも書きましたが、こちらは電気の温水器でも対応ができるんです。
電気式シート床暖房とは?
シートタイプの床暖房(またはフィルムタイプ)は、薄いシート状の熱源を床材の下に張り巡らせる床暖房です。
シートタイプなので薄く、リフォームの際に床が1段上がってしまうなんてこともないのでバリアフリーなリフォームが可能です。
(和泉市の受け継ぐ住まい)
またランニングコストも低価格なものが多く、ガス温水式床暖房よりも安いのが特徴。
どんなメーカーがある?
シート式の床暖房を販売している会社、商品もチェックしていきましょう。
宮坂ゴム株式会社
こちらの会社では、「富士ホット」という、0.5㎜の薄さの床暖房シートを販売。
自己加熱抑制PTC発熱抵抗体を使用しているため、自動的に温度をコントロールします。
マックス株式会社
こちらの商品は、厚みが0.8mmの薄さで、床暖房シートを敷き結線するだけと簡単施工。
面倒な高さ合わせやセンサー配線の必要もなく、自社の職人で効率よく簡単に施工できます。
株式会社ウィ・ライフ
世界初の技術を用い、発熱体のカーボンファイバーを張った0.7㎜のシート「CFボードヒーター」を開発。
この床暖房パネルは、日本だけでなく韓国、アメリカ、ドイツで特許を取得しています。
0.7㎜という薄さにも関わらず、耐久性に優れ、ピアノなど重い物を乗せても問題ありません。
床暖房に使える無垢のフローリングっどんなのがある?
よく「無垢のフローリングは床暖房に使えない」と聞きますよね。
その理由は、無垢材が熱に弱いから。
しかし現在は、条件次第では床暖房に無垢のフローリングを使用することも可能です。
その条件とは単純。
「床暖房対応の無垢材を使用すること」
このような床暖房対応無垢フローリングは、うっかり床の上に直接熱い物をおいてしまった!などという際にも、通常の無垢より強くできているので安心、というメリットもあります。
それでは具体的に、床暖房対応の無垢材を販売しているメーカーや、無垢材に対応しているパネルを販売している会社をいくつかご紹介いたします。
株式会社ナカムラ・コーポレーション
建築業者向けに床暖房対応の無垢フローリングを販売している会社で
・高温/低温兼用床暖フローリング
・低温式床暖フローリング
を販売しており、かなり多くの材質を取り扱っています。
一例として、兼用床暖フローリングでは
・チーク
・バーチ
・チェストナット
・オーク
などがあり、低温式床暖フローリングでは
・オーク
・ミャンマーチーク
・レッドパイン
・バーチ
などがあります。
かなりの種類があるので、「床暖房対応の無垢フローリングって、選択肢が少ないんじゃ・・・」なんて心配もいりません。
前田木材株式会社
大阪府枚方市にある前田木材さん。
こちらにも色々と床暖房に対応した無垢フローリングがたくさんあります♪
トコダン企画販売
こちらの会社は、富士環境システムの「無垢材に対応した低温水床暖房パネル」を採用。
循環水温度を低温にしても熱量を発生させることのできる床暖房パネルなので、熱に弱い無垢材でも対応できるのです。
「うららシリーズ」と名付けられたこの床暖房パネルには数種類あり、グレードや値段、マンション専用など用途も異なります。
こちらの会社では無垢材と床暖房の相性を調べるため、耐熱試験を行っており、希望の無垢材と床暖房の相性を相談して決めることができます。
吉野杉の無垢床に床暖房は使えるの?
はい、使えます。
ひと昔前では考えられないことでしたが、今は無垢材に対応した床暖房パネルやシステム、また床暖房に対応できるように無垢材を乾燥する方法が開発されたりと、床暖房に使用できる無垢材も増えてきました。
吉野杉も、その1つ。
川上産吉野材販売促進協同組合が開発した新技術、「多重乾燥製法」により、吉野杉も床暖房と組み合わせて使えるようになったのです。
そもそも床暖房って必要なの?
ではそもそも、床暖房って本当に必要なのでしょうか。
これは、床の材質にもよります。
床の材質が広葉樹の場合、針葉樹に比べ冷たいという特徴があるため、床暖房があるといいかもしれません。
しかし逆に針葉樹の場合、道管が太くそれが空気層になって冷えにくいので、僕個人的には必要ないかなと思います。
実際、僕の家の床は針葉樹・吉野杉の無垢で床暖房はつけていませんが、「床暖房欲しいな~」と思ったことは一度もありません。
ちなみに床下エアコンをしてるからって言うのもあると思います。
ただ、僕は大阪に住んでいるので必要ないと感じますが、北海道や東北・寒い地域に住んでる人は、たとえ針葉樹のフローリングであったとしても床暖房があるといいかもしれませんね。
床暖房を施工した無垢の床材の上にマットを敷いて失敗した例
床暖房に使える無垢材や、無垢材対応の床暖房パネルなども開発され、「床暖房×無垢の床」が可能にはなってきましたが、もちろんきちんと対応したものでなければいけません。
また、また、床暖房に対応した無垢の床を張ったとしても、条件次第では失敗へとつながってしまいます。
僕が経験した失敗例として、過去に広葉樹の床暖対応の無垢フローリングを張ったのですが、その上に直に置かれたソファーを動かしてみると、フローリングの実(さね)が割れるくらい隙間が開いていました・・・。
床暖房の上には、カーペットを直接引いたりとか、直接何かを敷くと熱で蒸れて無垢フローリングが割れてしまうんです。
ちなみに実(サネ)とは、フローリングの板をはめ込む為の横の凹凸部分のことをいいます。
もちろん、これは張り替えないといけないですよね・・・
もうシート式の床暖房がみえてる・・・・汗
割れたLDKの無垢フローリングを張り替えました・・・
なので床暖房は個人的に少しトラウマ・・・・
もちろん今後のお客さんから全物件、1筆をもらうようにしたのは言うまでもないですよね・・・
床暖房を使うと無垢の床材って使えないの?のまとめ
僕個人の意見をまずお伝えすると、針葉樹の床を選んだ場合は床暖房は必要ないと思っています。
(特に杉のフローリングの場合かなぁ・・・)
広葉樹の床材を選んだ場合は、床暖房もありだとは思いますが・・・
ただ、先ほども言った通り、これは個人の好みやお住まいの地域によっても異なることです。
ヒートショックが心配という方や、寒い地域にお住まいの方は、たとえ針葉樹の床材を選んだとしても床暖房が必要だと思われる方もいるかもしれません。
もし床暖房に無垢のフローリングを張るとお決めになる際は、必ずそれぞれが対応のものかの確認、また使用条件などをしっかりと把握しておく必要があります。
ただ・・・
僕は床材には吉野杉のフローリングしかお勧めしていません(笑)。
(すみません、めちゃくちゃ偏っています(笑))
なのでこのブログは皆さんの参考になるのか?なw