地盤調査って必要なの?
地震が多い日本。
そんな地震に負けない強い家づくりを考える上で、地盤はかなり重要になってきます。
今回のブログでは、地盤調査について書いてみたいと思います!
目次
地盤調査とは?
地盤調査とは文字通り、建物を建てる土地の性質や耐久性を調べるために行う重要な作業のことです。
対象の土地が建物を建てるのにふさわしいかどうか調査しないといけないのです。
大阪市住吉区KANA-HOUSE
建物の重さは構造によって重さは変わってきますが、一般的な木造住宅で大体約50トンの荷重が常にかかります。
新築住宅を建てる土台となる土地が建築物を支えることができるのか?
支えられない場合は、安全に建てるためにどのように建築をしたら良いのか?
19HOUSE地盤調査
建物全体がいくら耐震性に優れていても、建てる土地が軟弱で建物を支えることができなかったら全くもって意味がありませんよね?
簡単に言うと、豆腐の上に家を建てても沈みますよね?
地盤の固さを把握することは、地震の時だけでなくこれからも安心して暮らすためにとても必要で重要な調査なのです。
地盤調査には種類がある?
地盤調査には6つの調査方法がありますのでご紹介いたします。
スウェーデン式サウンディング試験
泉大津市K様邸
こちらの調査方法は、スウェーデンで初めて導入された調査方法。
最も普及している調査方法でもあります。
ネジ状のロッドと呼ばれるスクリューポイントを付けた鉄の棒を地面に貫入させ、どのくらいのおもりを載せたら貫入するかを調べます。
おもりが100キロ(1KN)に達しても貫入しない場合は、次にどのくらい回転させたら貫入するのかを25cmごとに測定し、その時のドリルの回転数やおもりの重さで地盤の強さを判断します。
西宮H様邸地盤調査
ドリルを抜く際に付着した土の状態も調べますので、その土地の地質形状も知ることができます。
木造住宅であればほぼこの試験じゃないでしょうか?
スウェーデン式サウンディング試験は、手でするやり方もあります。
ボーリング標準貫入試験
地面に約8cmほどのボーリング孔をあけます。
サンプラーと呼ばれる鉄の筒を地面に打ち込んで調査し、サンプラーを何回打ち込んだか、これによって地盤の強さを判断します。
会社の近所で調査している所を許可をもらって撮影
こちらの調査方法は、今まで数多くの地盤調査を行ってきましたので、実績や調査結果も豊富です。
土の状態もわかるので、液状化の判定も可能です。
10m以上の深い部分の調査もできますが、調査費用は高くなり、調査期間も長くなります。
そして調査には広いスペースが必要になってきますので、大規模な建物を建築する場合に採用されることが多い調査方法です。
基本的に木造住宅ではしない調査です。
63.5kgのハンマー(おもり)を75cmの高さから自由落下させて、サンプラーを土中に30cm貫入させるのに要する打撃回数を測定する試験で、この時の打撃回数がN値です。
平板載荷試験
地盤に直接荷重をかけて強さを調べる方法。
建物の基礎部分まで掘り、そこに板を設置。
その板に対して実際の建物と同じくらいの荷重をかけ、どのくらい板が沈むかを調べて地盤の強さを判断します。
プレハブ小屋などの簡易的な建物などの地盤調査として採用されることが多いです。
調査する場所によって使用する重機が変わってくるため調査費用は変わってきますが、スウェーデン式サウンディング試験よりは費用は高く、ボーリング標準貫入試験よりは安く済みます。
比較的に短期間で調査を終えることができるのもこの調査方法の特徴です。
ただし、重機を使って地盤に荷重をかけるので、肝心な重機が通れるスペースが無いと調査ができません。
ポータブルコーン貫入試験
人力でコーンを貫入させ、抵抗の度合い(貫入抵抗)を調べて地盤の強さを判断します。
使用する機械の違いがあり、単管式と二重管式の2種類があります。
人力で行う作業のため固い地盤の調査は難しく、3mから5mほどの深さまでしか調査することできません。
調査期間は極めて短くすみ、1か所に数分程度、複数の調査にも半日程度で終わります。
調査する場所が増えるとその分費用も高くなってきます。
この調査方法は粘性土、腐植土などの軟弱な地盤を調べる時に使われることが多いです。
住宅の地盤調査に使われることもありますが、一般的に建設機械が走行に必要な地盤の強度を判定するのに使われることが多い方法となります。
オートマチック・ラム・サウンディング試験
こちらの調査方法もスウェーデンで開発された方法で、動的コーン貫入試験です。
先端角度を90°のコーンを自動連続貫入装置にて、貫入に必要な打撃回数をもとに地盤の強さを調べる方法です。
スウェーデン式サウンディング試験で調査ができない、20mから30mの深さまで調査ができます。
そして小型の機械なのでボーリング標準貫入試験のように大きな機械を使わないため、広いスペースも必要ありません。
自走式の機械のため迅速かつ経済的に調査をすることやその場でデータの確認が可能で、調査期間も短期間で済みます。
ただし、高低差が大きい場所ですと、機械の仕組み上、測定作業が難しく、ボーリング標準貫入試験のように土壌の採取が出来なくなります。
これは実際私は見たことはないです(笑)
レイリー波探査(表面波探査法)
振動を用いた調査方法で、物理探査の一種です。
地表面に起振機を設置して振動が伝わる範囲や速さによって地盤の強さを判断する方法です。
振動は人体には感じないほどの小さな地震を人工的に起こして地中に伝わる状況を、キャッチして、それを解析し地層の深さごとに、表面波の速度を計測します。
地盤が固い場所では振動の波の伝わりがはやく、軟弱な場所だと伝わり方はゆっくりとなります。
調査方法も二つの検出器(起振機と検出器)を使用。
地面にドリルなどを貫入させたり、穴を掘ったりという作業がないため、石が多い場所やコンクリートなどの所でも調査が可能です。
調査費用はスウェーデン式サウンディング試験よりは高くなりますが、短期間で調査が終わり、広いスペースを使わずに済むのが特徴です。
同じくこれも私は見たことないです(笑)
地盤調査は義務?
2000年の建築基準法の改正に伴い、地盤調査は原則として行わなければなりません。
もし地盤調査を行わなかった場合、住宅瑕疵担保責任保険に加入することができません。
また2009年にスタートした住宅瑕疵担保履行法では、新築住宅を供給する事業者に対し10年間の「住宅瑕疵担保責任保険」の加入が義務化となりました。
対象の住宅が設計施工基準をきちんと満たしていることが必要です。
設計施工基準とは、建築基準法に基づくもので地盤調査が義務付けられています。
瑕疵担保(かしたんぽ)とは?
瑕疵(かし)とは 「きず」や「不具合」などの欠陥を意味します。
事業者が建てた建物に瑕疵(欠陥)が見つかった場合、その補修のために必要な費用を補填してもらえる保険のことをいいます。
もし、事業者が倒産などしてしまった後でも、瑕疵が見つかった時に補償がきちんと受けられるように住宅瑕疵担保責任保険が履行されたのです。
そして事業者は瑕疵担保責任を果たすために資金の確保を行わなくてはなりません。
事業者が資金確保のための手段は2種類あります。
1つめは瑕疵担保責任保険への加入です。
国土交通大臣が指定した保険法人と契約を締結します。
2つめは保証金の供託です。
新築住宅に応じた金額を事業者は10年間法務局などの供託所に預けます。
地盤調査にかかるコストと時間
コストや時間も、調べる場所や調べる方法によって違いが出てきます。
地盤調査にはいくらくらいかかる?
スウェーデン式サウンディング試験では約10万円前後
ボーリング表面貫入試験は20万円から30万円程度
平板載荷試験は1か所につき約15万円で調査でき、調査する場所が増えると金額も高くなります。
ポータブルコーン貫入試験は1か所約5万円程度からできるようです。
レイリー波探査法(表面波探査法)は約10万円ほど。
どの調査もかなり高額ですが、とても必要な調査ですので下調べは必須ですよ!
地盤調査にはどれくらいの時間がかかる?
時間は調査方法などにもよって異なりますが、ウェーデン式サウンディング試験は機械がコンパクトなため、調査にかかる時間は「数時間から半日ほど」で終わることが多いでしょう。
ボーリング表面貫入試験は機械の搬入や足場を建てたりと設置に時間がかかるため、だいたい1日から数日かかることもあります。
平板載荷試験は装置の設置から撤去まで含め、約4時間で作業を行うことができるようです。
地盤改良工事とは?
建物を建てると、家全体の重さによって少し沈みます。
平均的に沈む分には問題はないのですが、傾きながら沈む「不同沈下」を起こすと、窓やドアなどが閉まりにくくなってしまったり、日常生活に影響がでます。
地盤調査を行うことで不同沈下や液状化の可能性を判断した場合、地盤をしっかりとしたものに改良するために、地盤改良工事を行うのです。
4種類の地盤改良工事の紹介
表層改良工法
軟弱地盤が1mから2m程度と改良深度が浅い場合に用いる方法で、土を削り固化材(セメントや石灰)を混ぜた土を締め固め、一体化させます。
杭などを使わないので大型の重機なども使いません。
地盤の中に石やコンクリートなどが混入していても施工でき、値段も1m程度の深さで約30万円から50万円ほどで行うことができます。
柱状改良工法
軟弱地盤が8mまでの場合で、不同沈下の恐れがある場合に用いられる方法。
安定した地盤まで円柱型の穴を掘り、セメントを流し込みます。
地中にセメントの杭が打ち込まれ地盤をしっかりとさせる方法です。
費用は建物の大きさなどで変わりますが、深度4mから5mほどを改良する場合約70万円から100万円ほどを目安に行うことができます。
ただし、セメントが固まりにくく、固化不良を起こすこともあります。
また、施工後は原状復帰が難しく、将来、土地を売りたい時に撤去費用などの問題が出てきてしまうこともあります。
鋼管杭工法
軟弱地盤がさらに深い場合に行う方法で、鋼製の鋼管杭を地中深く(8mから30m)に打ち込みます。もともとはビルなどの大型の建物のための工法です。
表層改良や柱状改良では対応できない場合に行い、費用は深度5mから6mほどで鋼管杭工事は約110万円から140万円ほどかかります。
弊社で鋼管杭工事をしたことないのですが、たまたまお隣さんが鋼管杭を売ってたので撮影してみました^^
砕石パイル工法
こちらは砕石を使って地盤を補強する方法です。
硬化剤を一切使わない天然石パイル工法は、地盤に孔を堀り、その孔に砕石を詰め込み石柱を形成する、天然素材のみを使った、人・環境に優しくとっても強い、軟弱地盤の地盤改良工法なんです。
地震時の液状化をドレーン効果(排水効果)により阻止します。
砕石パイルはそれ自体が水を通すため、水圧を逃がす効果があり、 何本も造られた砕石杭によりその効果は絶大で、地震による液状化 を事前にくい止めることができます。
徳本砕石さんのHPより引用
↑19HOUSEで施工した時のブログに飛びます。
地盤改良工事のリスク
地盤改良によって土壌汚染を引き起こしてしまうことがあります。
発がん性物質の「六価クロム」には強い酸化作用があり皮膚や粘膜に付着し放置すると、腫瘍や皮膚炎などを引き起こしてしまいます。
(六価クロムとは?アスベストと並ぶ”二大発ガン性物質”として、LARC(国際ガン研究機関)及びEPA(米国環境保護庁)にリストアップされている有害物質です。
粘性土でよく発生し、高炉セメントでは発生しにくいと言われていますが、その発生メカニズムは科学的に解明されていません。)
「六価クロム」はどうして発生するのでしょうか?
セメントの原料の中に三価クロムという物質が含まれていますが、この三価クロムは有害なものではありません。
ですが、セメントを製造する過程で高温に焼成することで「六価クロム」が作られます。
生成され「六価クロム」が溶出されることは本来ないのですが、土の中に含まれる腐植土などによって水和反応が阻害されて溶出してしまうのです。
2003年に土壌汚染対策法が施行され、もし「六価クロム」が発生した時、その土地の所有者は汚染物質の浄化義務を負います。
汚染された土地が雨などによって近隣の田んぼや畑に流れ込むと悪影響を及ぼす恐れも出てくるのです。
国土交通省直轄工事(公共工事)においてセメント及びセメント系固化材を用いる場合、六価クロム溶出試験を実施し、その検出量をチェックしなければなりませんが、民間工事においては義務づけられていません。
そのため、お施主様にこのリスクが充分に伝えられていないのが現状です。
他の問題点として、地盤改良を行ったにもかかわらず、地盤沈下してしまうというケースもあります。
改良した場所が支持層のムラによって荷重に耐えることができなかったり、地盤に筒状の穴をあけコンクリートを流し込んだ所が、地盤の途中に腐葉土などがありセメントが固まらず地盤がまだしっかりしていない状態で建築を進めてしまったり、支持層に傾斜があり杭が支持層に届かないなど。
このようなことにならないためにも、施工業者は慎重に選びたいですね。
地盤調査のまとめ
新築住宅を建てる際に必要な地盤調査。
もし地盤調査をしないと住宅瑕疵担保責任保険に加入できず、もしも欠陥が見つかった場合、泣き寝入りするしかなくなります。
調査を行った後、もし土地が軟弱だった場合は安心して暮らせるように改良工事を行い、その際は、必ず情報をしっかりと集め信頼できる業者を選びましょう。
そして改良工事の後のリスクもきちんと調べて、将来的にも安心して暮らせる土地に家を建てたいものですね。
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