木材って乾燥してないとダメなの?グリン材(グリーン材)って何??ウッドショックに関係ある!?
僕が20代半ばに勤めていた会社で、売り建て分譲地の家を建ててた時には何も違和感がなかったグリン材(グリーン材)。
小屋から上はグリン材(グリーン材)でいいよ!
そんな感じで昔は言ってました。
ってそもそもグリン材(グリーン材)ってなんやねん!!
って思いますよね(笑)
今回はそんなグリン材(グリーン材)の事も含めて、その他乾燥材などに関して書いてみたいと思います。
今回のウッドショックで、木が高騰してるからグリン材(グリーン材)を使って家を建てる。。。
って家も出てきてるみたいで。
本当にいいのか?
ちゃんとグリン材(グリーン材)の事も知った上で皆さんが理解したうえで建ててくださいね^^
目次
そもそもグリン材(グリーン材)って何?
グリン材(グリーン材)なんて言葉、普段生活している中では聞いたことも使ったこともないかと思います。
グリン材(グリーン材)とは乾燥処理が施されていない木材、要するに伐採されたあと、なんの乾燥処理も施されていない木材のことをいいます。
「乾燥してなくて大丈夫なの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そんな疑問にお答えすべく、まずはグリン材(グリーン材)のメリットとデメリットについて書いていきますね。
グリン材(グリーン材)のメリットは?
グリン材(グリーン材)の一番のメリットは、なんといっても「安い」ということ。
伐採してすぐに使用するので、乾燥や加工などの手間暇をかけていない分安いんですね。
そのため、建築費用を抑えることができるんです。
これに対して、乾燥材はグリン材(グリーン材)よりもコストが高くなります。
その点に関しては、またのちほど詳しく解説しますね。
グリン材(グリーン材)のデメリットは?
グリン材(グリーン材)は、乾燥していない木材。
ということは、グリン材(グリーン材)を用いて建築すると、の後何年かは乾燥に伴う収縮が起こるため、「パキ」という音がなったり、クロスにひび割れが入る、歪むなどのトラブルが起こる可能性も。
構造そのものに影響が出ることはないとは思いますが、クロスの張り替えが必要になることもあります。
建築の費用が抑えられても、家を建てて数年でクロスの張り替えが必要になってしまったら、本末転倒な気もしますね・・・。
(ちなみにですが乾燥材でも収縮は必ず起こるため、「パキ」という音はしますよ)
乾燥材って何?
グリン材(グリーン材)に対して、乾燥させた木材を「乾燥材」と呼びます。
乾燥材にも、「KD材」と「AD材」というものがあります。
それぞれどう違うのか、詳しく見ていきましょう。
KD材って何?
KD材とは
Kiln Dry Wood(キルンドライウッド)の略で、人工的に乾燥させる「強制乾燥材」です。
温度、湿度、風量を調節できる釜に木材を入れ、短期間で乾燥させます。
現在多くの住宅建築で用いられているのがこのKD材となっています。
KD材を作るにはいくつか方法があり、主流なものは以下の3つ。
【低温除湿式】
温水コイルまたは電熱コイルを乾燥庫内に設置し、庫内の温度を45度くらいまで上昇させ、風向きを一定方向に保ち循環させます。
木材から蒸発した水分を除湿機により乾燥させ、湿度を落とし乾燥を進めます。
【高温式】
高温式は、乾燥庫内の温度を100~130度まで上げ、木材の細胞を破壊することによって水分を抜いていく方法です。
【高周波式】
圧力40~80torrの減圧下において水の沸点を低くし(約35~50度)、高温波誘電加熱によって低温で水分を蒸発、乾燥させる方法です。電子レンジのような仕組みと考えるとわかりやすいですね。
AD材って何?
対してAD材とは
Air Dryの略で、自然乾燥させた乾燥材のこと。
自然乾燥させるのにかかる期間は5~10年と言われています。
長いですね・・・笑
しかし、自然乾燥したAD材は強度が高いのが特徴です。
乾燥材のメリットは?
乾燥材には2種類あるため、それぞれのメリット、デメリットもちがってきます。
KD材、AD材、それぞれのメリットをご紹介します。
KD材のメリット
KD材のメリットとして挙げられるのは以下のようなものです。
・乾燥が短期間で行える
・乾燥するまでの時間が前もってわかる
・含水率を調整できる
もちろん木材の大きさや太さにもよりますが、人工乾燥だと約1週間で乾燥させられることがほとんど。
AD材のメリット
AD材のメリットは以下の通り。
・自然乾燥なので、お金はかからない
・木材そのものの色合いや質が損なわれにくい
KD材、AD材に共通して言えるメリットは、すでに乾燥しているので経年による反りや割れが起こりにくく、寸法の狂いも出ないという点。
また、グリン材(グリーン材)に比べ強度も高く、寿命も長いのが特徴。
施工する側にもとっても扱いやすい木材なんです。
乾燥材のデメリットは?
それでは、デメリットはどうでしょうか。
ここでも、KD材、AD材それぞれのデメリットを見ていきましょう。
KD材のデメリット
KD材のデメリットとしては主に以下のようなものがあります。
・乾燥させる乾燥庫が必要なので、お金がかかる
・木材の色や質が損なわれる可能性がある
AD材のデメリット
AD材のデメリットは、主に以下の2つ。
・乾燥するまでに時間がかかり、また時間が読めない
・含水率がKD材ほど下がらない
デメリットについては共通点はありませんが、人工的に乾燥させるか自然乾燥か、という点がやはり大きく関わっていますね。
木の色や質を活かしたい場合は、AD材のほうがおすすめです。
ところで、AD材で出てきた「含水率」ですが、一体なんのことでしょう。
次に「含水率」について詳しく解説します。
含水率って何?
木材の含水率とは、木材が含んでいる水分の量を示す数値で、水分を覗いた場合の木材の重みと、木材に含まれている水分の重量の比です。
算出方法は以下の通り。
含水率(%)=(木材の乾燥前の重量(g)―乾燥後の重量(g))÷乾燥後の重量(g) ×100
例えば1,000gの木材を乾燥させて850gになったとします。
上記の公式に当てはめた場合、その木材の含水率は17.6%ということになりますね。
では、一体何%の含水率であれば「乾燥材」とすることができるのでしょうか。
国が定める基準はあるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
乾燥材の基準はあるの?
木材は、伐採された直後の含水率は辺材で約100%~200%程度、心材で35%~80%程度と、かなりの水分を含んでいます。
それが、どこまで乾燥すれば「乾燥材」とすることができるのでしょうか。
みなさんも聞いたことがあると思われる「JAS規格」では
構造用製材および造作用製材の乾燥材の含水率基準は仕上げ材については20%以下、枠組壁工法構造用製材については19%以下と設定しています。
これ以上の含水率だと、家を建てた後に乾燥によるひび割れや反りなどの変形の可能性が高い、ということですね。
ちなみに昔習った教科書には
・造作材の含水率は15%以下
・床板など広葉樹材の含水率は13%以下とする。
って書いてました♪
ちなみにですが構造材が割れてるのはいいの?
というお話もよく聞かれますのでそのブログはこちらで♪
なぜ乾燥材とグリン材(グリーン材)があるの?
乾燥材の方がいいことはなんとなくわかってきました。
ではなぜグリン材(グリーン材)がまだ用いられることがあるのでしょう。
それは単純に、グリン材(グリーン材)のほうが安いからです。
木材を乾燥させるには、お金、場所、時間が必要です。
その分、乾燥材のお値段は高くなります。
ただし、現在は色々な方法でかなり短期間でKD材をつくることができるので、その価格もグリン材(グリーン材)と比べて、目が飛び出るほど高い、というわけではなくなってきています。
ものによっては、グリン材(グリーン材)に比べ1~2割程度高いだけのものもあるようです。
そう思うと、建築費用もそこまで高くはならないのかもしれませんね。
これは僕の経験談ですが、僕が昔建売をやってた物件の小屋収納を点検で見にいったら床の巾木と床の隙間が10mm以上あいてるところがありました。
たった1㎝かもしれませんが、これは大きいです!
乾燥していないグリン材(グリーン材)を使って建てていたので、年数がたって乾燥し、木材が収縮して隙間が空いてきていたのです。
木材って乾燥してないとダメなの?のまとめ
グリン材(グリーン材)は、確かに乾燥材に比べると安いです。
しかし、グリン材(グリーン材)を用いて建築したあとのリスクや起こり得る不具合のことを考えると、最初から乾燥材を使用したほうがいいと僕は思います。
せっかく建築費をおさえて家を建てたのに、数年でクロスを張り替えたり左官を塗り替えたりしないといけなくなったりしたら・・・悲しいですよね。
ではKD材とAD材であればどちらのほうがいいのか、という疑問に対しては・・・
これは、木の性質や用途によって使い分ける・・・ですかね。
また、誤解していただきたくないのが、
「乾燥材を使ったら絶対ひび割れや反りが起こらない」
という事ではないということ。
木はもともと生きていたものですから、鉄などと違い「呼吸」をするので、含水率を下げた乾燥材でも、ひび割れや反りが絶対起こらないというわけではないのです。
ただ、強度などのこともふまえて、乾燥材のほうがオススメですよ、ということは自信をもって言えます!
ちなみに弊社で使っている吉野杉のフローリングはどうしてるのか?
いつもお世話になっている、奈良県吉野の丸岡材木店さんに聞いてみました♪
弊社の乾燥機は中温除湿乾燥機です。
厚みの薄い15ミリのフローリングの場合は、45℃の温度から6〜7日かけて55℃まであげていきます。
湿度はその逆で少しづつ下げていきます。
30ミリのフローリングの場合は45℃から最終は70℃まで上げていきます。
経験上最後の1.2日で温度を上げると、含水率のばらつきが少なくなり、12.3%まできっちり水分が抜けてくれるからです。
熱源は三浦のボイラーを使用して、温風と加湿器で温度と湿度を管理しています。
とのことでした♪
もうかれこれ8年ぐらい丸岡さんの材でお世話になっていますが、本当に乾燥もばっちりで。
年数がたってもフローリングの隙があまり出ないので、いつもご贔屓にさせて頂いております💖