マンションリノベーションの断熱材にシュタイコゼルを使う理由|木からできたウッドファイバー断熱材
こんにちは、藏家のいぐらです。
最近、藏家のマンションリノベーションで使うことが増えてきた断熱材があります。
それが、シュタイコゼル(STEICO zell)という断熱材です。
名前だけ聞くと、ちょっと何かわからない(笑)
「シュタイコゼル?なにそれ?(笑)」
「グラスウールとか、発泡系の断熱材と何が違うの?」
「マンションリノベーションにそんな断熱材が必要なの?」
そんなふうに思う方も多いと思います。
簡単に言うと、シュタイコゼルは木の繊維からできた吹き込みタイプの断熱材です。
木を細かい繊維状にしたものを、壁や天井の中に専用の機械で吹き込んでいきます。
藏家では、昔から無垢の木や自然素材を使ったマンションリノベーションを大切にしてきます。
床には吉野杉や国産の無垢材。
壁には珪藻土や漆喰。
家具やキッチンも、できるだけ木でつくる。
そんな家づくりをしている中で、断熱材だけが家の考え方から少し離れていることに、ずっと違和感がありました💦
もちろん、断熱性能が大切なのは当然です。
でもそれと同じくらい、壁の中に入る素材が何でできているのかも、これからの住まいづくりでは大切になってくると思っています。

目次
シュタイコゼルとは?
シュタイコゼルは、ドイツのSTEICO社がつくっている木質繊維断熱材です。
製品情報では、吹き込みタイプの木繊維断熱材として紹介されていて、壁・天井・屋根などの空間に充填して使うことができます。
断熱材には、グラスウール、ロックウール、発泡ウレタン、フェノバボード、スタイロフォームなど、いろいろな種類があります。
その中でシュタイコゼルは「木からできていること」と「吹き込みで施工すること」が大きな特徴です。
公表資料では、熱伝導率はおおむね0.036〜0.038W/(m・K)、比熱容量は2,100J/(kg・K)とされています。
熱伝導率は熱の伝わりにくさ、比熱容量は熱をためる力です。
つまりシュタイコゼルは、冬の寒さをやわらげるだけでなく、夏の暑さが室内に伝わるタイミングを遅らせることにも期待できる断熱材です。

図:断熱材を選ぶ時に見る主なポイント
マンションリノベーションで断熱が大切な理由
マンションリノベーションでは、間取りを変えたり、キッチンを入れ替えたり、床を無垢材にしたり、どうしても見える部分に意識が向きやすいです。
もちろん、それも大切です。
でも、住み心地を大きく左右するのは、実は見えない部分です。
特に大切なのが、断熱、気密、窓、換気、床の遮音、壁や天井の下地です。
遮音についてのブログはこちらをご参考に^^
マンションの場合、外壁に面している壁や、最上階の天井、北側の部屋などは、外の暑さ寒さの影響を受けやすい場所です。
冬になると壁が冷たくなり、そこに室内の暖かく湿った空気が触れると、結露が起きることがあります。
結露は窓だけで起きるものではありません。
条件によっては、壁の中で起きることもあります。
表面には見えていなくても、壁の中で湿気がたまり、カビやにおいの原因になることもあるんです・・・
だからマンションリノベーションでは、ただ断熱材を入れればいいというわけではなく、どこに、どんな断熱材を、どう施工するかが大切になります。

図:マンション外壁側の断熱イメージ
吹き込み断熱だから、マンションの現場と相性がいい
シュタイコゼルの特徴として、まず大きいのは吹き込みタイプであることです。
板状の断熱材やマット状の断熱材は、現場でカットして入れていきます。
きれいに施工できればもちろん問題ありません。
ただ、マンションリノベーションの現場は、意外と壁の中が複雑です。
配管があったり、電気配線があったり、コンクリートの梁型があったり、既存の躯体に不陸があったりします。
新築のように、すべてがきれいな寸法で納まるわけではありません。
その点、シュタイコゼルは吹き込みタイプなので、壁や天井の中のすき間に繊維が入り込みやすい。
木の繊維が三次元的にからみ合うことで、断熱層をつくっていくイメージです。

阿倍野区Tさんの家木のマンションリノベ工事途中
この「すき間なく入る」というのは、断熱にとってとても大切です。
断熱材そのものの性能がよくても、すき間があればそこから熱が逃げます。
いわゆる断熱欠損です。
特に既存躯体に合わせて施工するマンションリノベーションでは、吹き込み断熱材を使えることに大きな意味があります。

図:吹き込み断熱と現場の相性
木の断熱材だから、熱の伝わり方がやわらかい
藏家では、無垢の杉の床をよく使います。
杉の床を素足で歩くと、冬でも冷たさがやわらかいです。
それは杉という木が空気を含んだ素材で、熱を奪いにくいからです。
シュタイコゼルも、木の繊維でできた断熱材です。
床材の杉と断熱材を単純に同じようには語れませんが、木という素材が持つ特徴は、住まいの温熱環境にも関係してきます。
比熱容量が大きい断熱材は、熱をためる力が大きい断熱材です。
夏の日中、外壁や屋上が熱を受けても、その熱がすぐに室内側へ伝わりにくくなります。
熱のピークが遅れて、室内側の温度変化が穏やかになるイメージです。
ただ数値だけを追いかけるのではなく、暮らしたときの体感として「なんとなく空気がやわらかい」「エアコンの効き方が穏やか」「外の暑さ寒さに振り回されにくい」。
そういう方向の住まいを目指したいと思っています。

図:熱の伝わり方のイメージ
防音面でもマンションと相性がいい
マンションリノベーションでは、音の問題も大切です。
上下階への床衝撃音は、床の遮音性能や二重床の仕様が大きく関係します。
一方で、隣の部屋との音、外部からの音、室内での音の響き方には、壁や天井のつくりも関係します。
シュタイコゼルは、木の繊維が絡み合った断熱材なので、断熱だけでなく吸音の面でも期待できます。
もちろん、音の問題は断熱材だけで全部解決するわけではありません。
床の遮音等級、二重床の仕様、壁のボードの枚数、下地のつくり方、配管まわりの処理など、いろいろな要素が関係します。
それでも、マンションリノベーションで壁や天井に木の断熱材を入れることは、温熱環境だけでなく、音環境にもいい影響があると感じています。

阿倍野区Tさんの家木のマンションリノベーション工事中
調湿性と透湿性について
木の素材は、湿気を吸ったり吐いたりする性質があります。
シュタイコゼルも木質繊維断熱材なので、透湿性を持った断熱材です。
ここで大切なのは、「調湿するから結露しない」と単純に考えないことです。
これはすごく大事です。
どんなにいい断熱材でも、壁の構成や気密、防湿、換気の考え方を間違えると、結露のリスクは出ます。
特にマンションは、外側がコンクリートです。
木造住宅とは壁の構成が違います。
だから藏家では、断熱材だけを見て判断するのではなく、コンクリート躯体、下地、断熱材、仕上げ材、窓、換気まで含めて考えるようにしています。
自然素材だから安心、木だから大丈夫、ではなく、自然素材だからこそ、ちゃんと理屈をわかって使うことが大切です。

環境面でも、これからの断熱材だと思う
シュタイコゼルは、木からできた断熱材です。
STEICO社の製品情報では、木繊維断熱材がCO2を固定することや、暖房エネルギーの削減による気候保護につながることが紹介されています。
家づくりの世界でも、これからは「断熱性能が高い」だけではなく、その素材がどこから来て、どうつくられて、将来どう処分されるのか。
そこまで考える時代になってきていると思います。
藏家は、国産材や無垢材を使った家づくりをずっと大切にしてきました。
もちろん、シュタイコゼル自体はドイツの製品です。
そこは国産材とは違います。
でも、木という素材を断熱材として使う考え方は、藏家の家づくりととても近いものがあります。
床や家具だけ木にするのではなく、壁の中、天井の中まで、できるだけ人にも環境にもやさしい素材を使っていく。
そういう選択肢が増えてきたことは、すごくいいことだと思っています。

デメリットや注意点もあります
ここまでいいことをたくさん書きましたが、もちろん注意点もあります。
まず、どこの工務店でも簡単に施工できるわけではありません。
シュタイコゼルは吹き込み断熱材なので、専用の機械と施工の知識が必要です。

また、材料費や施工費は、一般的な断熱材より高くなる場合があります。
マンションリノベーションは予算とのバランスも大切です。
どの部屋に使うのか。
外壁面だけに使うのか。
天井にも使うのか。
他の断熱材と組み合わせるのか。
そういった判断が必要になります。
藏家でも、すべての現場で必ずシュタイコゼルを使うというわけではありません。
現場の条件、予算、求める性能、お客さんの暮らし方を見ながら、適材適所で考えています。
こんな方におすすめです
シュタイコゼルは、特にこんな方に向いていると思います。
冬の寒さや夏の暑さをできるだけ改善したい方。
エアコンに頼りすぎない、やわらかい室内環境にしたい方。
無垢材や自然素材が好きな方。
壁の中に入る素材にもこだわりたい方。
マンションでも、木の家のような心地よさを感じたい方。
断熱性能だけでなく、環境面も大切にしたい方。
逆に、とにかくコストを最優先したい場合は、他の断熱材の方が向いていることもあります。
大切なのは、素材の名前だけで選ばないことです。
「シュタイコゼルを使っているからいい家」ではありません。
どう使うか、どこに使うか、どんな下地と組み合わせるか、窓や換気とどう考えるか。
そこまで含めて、はじめて住み心地のいいマンションリノベーションになります。

まとめ:見えないところに、どんな素材を使うか
リノベーションが完成すると、断熱材は見えなくなります。

床や壁やキッチンのように、毎日目に入るものではありません。
でも、暮らし始めてから毎日体で感じるのは、こういう見えない部分です。
冬の朝、部屋が冷えすぎない。
夏の夜、熱がこもりにくい。
エアコンの効きがいい。
壁際にいても不快感が少ない。
音の響きが少しやわらかい。
空気感がなんとなく落ち着いている。
そういう住み心地は、見えない部分の積み重ねでできています。
シュタイコゼルは、木の繊維からできた断熱材です。
木の床、木の家具、木のキッチン。
そして壁の中にも、木の断熱材。
藏家がつくりたいマンションリノベーションには、とても相性のいい素材だと感じています。
もちろん、すべての家に絶対必要というわけではありません。
でも、マンションでもっと心地よく暮らしたい。
自然素材が好き。
断熱や温熱環境にもちゃんとこだわりたい。
そんな方には、ぜひ知っておいてほしい断熱材です^^
藏家では、見えるデザインだけでなく、見えなくなる下地や断熱材まで大切にしながら、木のマンションリノベーションをつくっています。
マンションの寒さや暑さ、結露、断熱でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
実際にこんな感じで施工してます♪






