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マンション自体の寿命ってどれぐらいなの?

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何度か聞かれたことのある質問で、「中古マンション自体の寿命で何年ぐらいもつんですか??」って言われたことがあります。
ということで、今回のブログは、マンションの寿命がテーマ。
日本最古の鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅である軍艦島の話も交えて、マンションの寿命について詳しくお話しします!

軍艦島ってどこにあるの?そもそも何?

軍艦島は、長崎県の南西の海上にある島です。正式名称は端島(はしま)。
岸壁に囲まれた軍艦島は江戸時代後期に石炭が発見され、それ以降良質な石炭が採れる海底炭坑として日本の近代化を支える重要な役割を担ってきました。
昭和35年には島に住む住人が5,200人を超え、東京都の約9倍という、世界一の人口密度を誇りました。
軍艦島の約半分を鉱場が占め、住宅地はかなり狭いため、大正5年に鉄筋コンクリート造でできた高層集合住宅30号棟が完成。
それ以降軍艦島では高層の建物が次々と建設されました。
そして、採掘の技術が発達するにつれ島も拡張。


島の周りには塀ができ、その姿が軍艦土佐に似ている事から「軍艦島」という名前が付けられました。
しかし、エネルギー転換政策により主要エネルギーが石炭から石油に移行。
昭和49年に軍艦島は閉山されました。
島の劣化が進み、立ち入りを禁止していましたが、現在では一部を整備し、実際に島に降り立って限られた場所のみの見学が可能になっています。
軍艦島で一番古い建物は30棟の1916年。
なんと100年を超えている
んです!

潮風に当たり続けても今もなお、倒れることなく立ち続けている姿は鉄筋コンクリート造のすごさの象徴といえますよね。

中古マンションの鉄筋コンクリート造ってどれぐらいもつの?

マンション建設の構造に、鉄筋コンクリートを用いた鉄筋コンクリート造(RC造)という工法があります。

この工法は、非常に高い耐久性と耐火性を備えており、地震に耐える物件として、関東大震災後から日本で広く使用されるようになりました。
コンクリートを流し込んでつくるため、形状を自由に変えられバリエーション豊富なデザインも実現が可能。
強度が必要な高層ビルはもちろん、高級マンションなど耐震性だけでなくデザイン性も重要視する建物にも多く使用されています。
では鉄筋コンクリートの中古マンションは一体どれくらいもつのでしょうか?


よく耳にするのが、木造は30年、鉄筋コンクリート造は37年という数字
鉄筋コンクリート造が37年というのは、建て替えられたマンションの平均築年数を表しています。

その中には都市計画などで取り壊しざるを得ず、早い段階で壊されたマンションも含まれており、具体的な数字ではありません。
では実際の寿命はというと、鉄筋コンクリート造のマンションではなんと100年以上もつと言われています。
実は鉄筋コンクリート造マンションの寿命は、コンクリートの寿命によって大きく左右されます。

コンクリートが建物の基礎となる鉄筋を覆い、鉄筋が錆びて膨張するのを防いでいるため、コンクリート事態の劣化が早ければマンションそのものの寿命も短くなってしまうです。
では、100年ももつマンションはどのような構造になっているのでしょうか?
マンションの寿命は鉄筋を覆ってるコンクリートのかぶり厚で大きく変わってきます。
かぶり厚とは、鉄筋を覆っているコンクリートの厚さの事で、かぶり厚が3cmの場合、物理的な耐用年数は65年といわれ、かぶり厚が4cmの場合は耐用年数は100年。
1cm違うだけで35年も違うなんてびっくりですよね!

仮に今住んでいるマンションが築30年だとすれば、残り70年はもつ事になりますね。
しかし、中古マンションには気を付けなければいけないことが二つあります。

  • 耐震設計
  • 維持管理

耐震設計

1981年に耐震設計基準が改正されました。
それまでは震度5までだったものが、改正後は震度6~7までは、仮に倒れたとしても安全な倒れ方をするような設計にするように変更
されたのです。

中古マンションでは、その多くが今だ旧耐震基準のままです。
設計基準改正前に建てられた多くのマンションが建て替えや大規模修繕が行われていないのが事実。
しっかりと新耐震基準を満たすよう大規模修繕が行われているかどうかによってマンションの寿命に大きく影響を与えています。

維持管理

他に気を付けなければいけない点はマンションの維持管理です。

マンションには管理組合という組織があります。
管理組合とは、マンションの購入者全員で結成される「充実したマンション生活を送る」を目的とした組織の事をいい、主に共有部の清掃や設備点検、大規模修繕の計画などを行います。

この管理組合もマンションの寿命に大きな影響を与えるんです

管理組合がしっかり活動を行っていない場合、マンションでの生活が快適ではなくなってしまい、住人が減ってしまう可能性があります。
そうなると「このマンションに住みたい」という人が減り、空き部屋が増え、解体せざるを得ない状況になってしまうのです。

マンションの維持管理が意識高くしっかりと行われているマンションであれば、中古だとしても寿命は100年以上もつといわれています。
中古マンションにおいては、物理的な部分と管理面がしっかりとしているかどうかがかなり重要
なんですね

中古マンションの大規模修繕ってそもそも何?

大規模修繕工事は、日常的に行う点検や小規模な工事とは異なり、マンション管理組織で計画を立てて行う工事の事です。
外壁や共有部、屋根などの塗装・補修工事や防水工事、給排水管の洗浄・交換などを行います。

管理組合が長期修繕計画を立て、マンションの住人があらかじめ積み立てた修繕積立金を使って工事を実施。
計画立てから工事終了まで長い期間を要し、修繕にかかる費用も大きくかかるのが特徴です。

マンションは、外壁の破損や、鉄部・給排水管の錆びなど、時間の経過と共に劣化が進んでいきます。
劣化が進むにつれ、快適にマンション生活を送ることができなくなってしまうことも。

それを未然に防ぐ、あるいは解消するために行うのが大規模修繕なのです。

さらには時代の変化ともに、新しく便利な機能を備えた商品や設備が開発されます。
例えば、オール電化やバリアフリー。
これらは人々がもっと快適に暮らせるようにと開発されたものです。

さらに快適に便利に暮らすにはこういった新しいものを取り入れる事が必要ですよね。
その場合にもマンションの大規模修繕が必要になります。

マンションの大規模修繕は経年の劣化を補修するためでなく、さらに快適にマンション生活を暮らせるようにする重要な工事なのです。

大規模修繕や建て替えの目安は?費用はどれくらいなの?

大規模修繕の目安は国土交通省から築12年を推奨しています。
築10年を過ぎたあたりから外観の劣化が目に見えて分かるようになるので、外壁の塗装工事や、屋上の塗装・防水工事、給排水管の工事などを実施。

一戸あたり約100万が費用の目安です。(あくまで目安です)
つまり30戸のマンションの場合は3,000万円程の費用がかかるということ
そして、大規模修繕工事は、50戸以下のマンションで約2~3ヶ月かかり、計画立案から考えると約1~2年程もかかるんです!
高額な上に時間も必要とするので、慎重に進める事が大切です。

ほとんどのマンションが10~15年を目安に大規模修繕を行っていましたが、現在では平成20年の建築基準法一部改正により、タイル張り・モルタル仕上げのマンションは修繕後、10年経過した場合3年以内に外壁の全面調査が義務付けられました。

そのためマンションによっては、12年ごとに大規模修繕を行っているところもあります。
マンション管理組織の理事を務める際は、大規模修繕を12年、一戸あたり100万円を目安に考えましょう。

マンションの寿命が伸びてきている2つの理由

一昔までは、日本のマンションの寿命は約60年と言われていました。
しかし、近年では「100年コンクリート」と呼ばれるマンションができはじめ、10年前程かは「200年住宅」という言葉も耳にするようになってきました。

なぜこれほどマンションの寿命が伸びてきているのでしょうか?
それには主に、以下のような2つの理由があります。

  • 技術革新
  • ストック型社会への転換

技術革新

建築に使用される素材の品質アップがなされ、さらには施工技術が進歩。
また100年コンクリートといった新しい素材が出て来たことにより寿命が延びたと考えられます。

もちろん、良い素材を使用しているからといって、それだけで100年200年もつわけではありません。
日々の使い方や、メンテナンスなど色々な事が組み合わさって100年という寿命が実現可能なのです。

ストック型社会への転換

フロー型社会からストック型社会への転換もマンションの寿命が伸びた主な原因の一つ。

1990年代、寿命が30年といわれていた住宅は、戦後から高度経済成長期に建てられたものです。
スクラップ&ビルドで新しいもの取り入れ、綺麗な建物へ建て替える事を多くの人が求めている時代でした。

しかし、バブル崩壊後は不景気に入り、住宅を建て替えるということが難しくなりました。

そして建築の技術も成熟し、新しい技術が生み出されることはほとんど無くなったのです。

バブル崩壊前とは違い、長く大切に使い、古き物を楽しむといった価値観をもつ人が多くなりました。
そのため、同じ建物をリフォームしたりリノベーションして、長期間大切に住み続けることが主流になったのです。

マンションの寿命を下げる原因は何?

マンションの寿命は、建築に使用される材料や技術によって大きく変化します。
しかし、それだけではありません。
材料が良いからといって100年保つことができる
わけではないのです。

では、他にどのような事で寿命が変化するのでしょうか?

まず、「売れるかどうか」によってもマンションの寿命は変化します。
例えば、都心から離れ、郊外に出ると誰も住んでいない空き家を目にする事がありますよね。
材料や建築技術は十分にも関わらず、人が使っていないということで老朽化が急速に進んでいきます。
なかなか住む人が現れず、そのまま老朽化が進んでいけば、あとは解体されるのを待つだけ。

このような売れない空き家は、もう既に寿命がきているといってもいいかもしれませんね。
これはマンションも同じです。

30年40年50年と何年も住み継がれている都心のマンションは、立地の良さはもちろん、住みやすさや維持管理への意識を高さによって「住みたい」という方が後を絶たないのです。
中古マンションの寿命は、物理的な部分がしっかり整っていたとしても、市場価値があるかどうかで大きく変化するんですね。

マンションに寿命を下げるもう一つの理由は、マンションの安全性。
建築材料や技術がしっかりしていたとしても、安全でなければ住みたくはないですよね。

安全に住むためにも、耐震強度はやはり重要です。
前述したとおり、1981年に設計基準が震度6~7へ改正されました。
改正後に建てられたマンションは新しい設計基準なので心配ありませんが、問題は改正前に建てられたマンションです。

改正後は、新設計基準に建て替えるよう政府が促してきましたが、東京都の分譲マンションの約20%が今もなお旧設計基準のままなのです。
旧設計基準のままだからといって、それが悪いというわけではありません。
もちろん住むことはできますし、それなりの耐久性もあります。

しかし、やはり耐震性が高い方が安全なので「住みたい」と思うのではないでしょうか?
実際に震度6超えの地震は日本で多数起きているので、耐震性が高いに越したことはありませんよね

しかしもし仮に、今住んでいるところが旧設計基準であったり、倒壊の恐れがある状態だったとしても、耐震改修工事を行うことで倒壊への不安は解消されます。
大きな地震が来て倒壊してしまえば寿命はそれまでですし、旧設計基準という理由で住む人が減ってしまっても、寿命が来ているといっても良いのではないでしょうか。

マンションの寿命についてのまとめ

RC造のマンションであれば基本的に100年はもつとされています。

ただし、使用されている材料や、建築技術・耐震性などの物理的な部分だけでなく、快適なマンション生活への取り組みやしっかりとした維持管理など、住人たちの意識の高さがなければマンションの寿命は100年ももたないでしょう。

昔は30年や60年と言われていた寿命は、現在では100年、200年と言われるようになってきました。
今後も新しい材料の活用や技術革新は進んでいくことでしょう。

日々のメンテナンスや定期的な大規模修繕をしっかり行い、マンションの維持管理に対して住人一人一人が高い意識をもつ事でマンションの寿命は今後も伸び続けていくのではないでしょうか?

 

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